「技術料の使用」は税金逃れか否か
HOYAは18年9月に東京地裁に対して、処分の取り消しが認められなかった部分について、取り消し訴訟を提訴。それから足掛け7年、ようやく東京地裁の判決が下ったわけだが、その判決は更正処分額のうち、法人税・地方税等の約13億円を取り消すというもの。
しかし、同社は6月11日のリリースにあるように〈今回の判決のうち処分の取り消しが認められなかった部分につきましては、当社の主張と相違があるため、法令に則り、処分の取り消しを求めて速やかに控訴の提起を行う予定〉と、さらに高裁で争う姿勢を見せている。
移転価格税制とは、親会社が海外子会社など、国境を越えたグループ内取引の価格(移転価格)が、関連のない企業との取引でも適用される価格であることを求める税制のこと。移転価格の意図的な操作によって租税を回避し、日本を含む各国の税収が減るのを防ぐ目的で運用されている。
さらに、税率の低い国にある子会社に特許や商標といった「無形資産」を譲渡し、使用料を子会社に支払うことも移転価格として捉えられるケースもある。HOYAのケースはまさに、日本の本社が海外の子会社に支払っていた技術料という「無形資産」に対して東京国税局が指摘したもの。
直近では今年3月17日にSBIホールディングスの子会社が東京国税局から移転価格税制の基づき、22年3月期までの3年間に34億円の申告漏れを指摘されたほか、昨年はフジテックやヨネックス、ファナックなども指摘を受けている。なお、IHIも移転価格税制をめぐり21年に東京地裁に提訴している。
15:30【HOYA】税務訴訟の判決について
https://ssl4.eir-parts.net/doc/7741/tdnet/2637511/00.pdf