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HOYAvs.国税「移転価格税制12年戦争」控訴でさらに延長戦へ【6月11日「適時開示」ピックアップ】

6月11日の日経平均株価は前日比209円高の3万8421円で取引を終えた。そんな6月11日の適時開示は143件だった。

「すべての処分の取り消しを求める」戦い

東証プライム上場で精密大手のHOYAは6月11日、移転価格税制に基づく更正処分の取り消しを求める訴訟について東京地裁が判決を下したことを発表。一審で一部取り消しが認められなかった部分については、控訴する考えを表明した。

事の発端は12年前の2013年6月。HOYAは07年3月期から11年3月期までの海外関係会社と同社の取引において、東京国税局から移転価格税制に基づく更正処分として、法人税および地方税約90億円と対象事業年度の追徴課税約33億円を請求されていた。

同社は当時のリリースで、海外関係会社との取引は公正に行われていることに加え、各国の税制に従って適正な税務処理を行ってきたと主張。併せて東京国税局に対して更正処分の取り消しを求めると発表していた。

それから5年後の18年3月には〈国税不服審判所からの裁決書の受領について〉というリリースを公表する。

HOYAは上記の13年6月の更正処分を受けて約85億円を納税する一方、同年8月に処分は不服として国税不服審判所に処分の取り消しを求める審査請求を行ってきた。そして18年3月に審判所から処分の一部を取り消す裁決が下りたという内容だった。

裁決で法人税および地方税額等の約5億円の還付が見込まれることになったが、HOYAはこれも不服とし、18年3月の時点で〈今回の裁決のうち処分の取り消しが認められなかった部分につきましては、当社の主張と相違があるため、速やかに、法令に則り、すべての処分の取り消しを求めてまいります〉としていた。