前日終値に18.6%のプレミアムが付いたTOB価格だが…
東証スタンダード上場の東京コスモス電機(神奈川・座間市)は6月10日20時30分、米Bourns社(ボーンズ社)によるTOB(株式公開買い付け)実施を受け、賛同を表明するとともに、株主に対して応募を推奨した。
ボーンズ社側は6月30日にTOBの開始を予定しており、TOB価格は1株当たり8075円で、10日終値6810円から18.6%のプレミアムが付いている。そのため、11日の東京コスモス株はストップ高買い気配という状況だ。
一方、買付者であるボーンズ社はカリフォルニア州に置き、世界20カ所以上に製造拠点を持つ非上場の電子部品メーカーで、東京コスモスとは16年頃からプライベートブランドパートナーとして協業関係を築いてきたという。
そうした関係から会社側も賛同するTOBなのだが、価格を含めてその実施についてはいまだ “不確定要素”があるようだ。
というのも、本誌でも既報のとおり、東京コスモスはここ2年ほど、経営方針をめぐって、約27%を保有するとされる大株主のシンガポール系投資ファンド、グローバル・ESG・ストラテジー(GES)および、その運営会社スイスアジア・フィナンシャル・サービシズ(SAFS)と対立してきた経緯がある。
アクティビスト株主提案に「猛烈反対」の適時開示:東京コスモス電機vs.シンガポールファンドの場合
https://cgq.jp/series/jpx/8222/
昨年に引き続き、SAFS-GESは6月24日開催の定時株主総会でも取締役の半数以上を入れ替える人事案などを提案。その一方、15%超を保有する大株主である成成株式会社からも取締役候補の選任提案を受けている。
東京コスモスはこれら株主提案に対して猛反発しており、6月9日にはGESが裁判所に申し立てた株主総会検査役が選任されるなど、大荒れの総会になる可能性まで見込まれているのだ。
単純計算すると、40%を保有する2大株主と敵対した格好の東京コスモス。そんな不穏な状況下でのボーンズ社によるTOB発表だったわけだが、こちらでも総会の行方が影を落とす。