6月10日の日経平均株価は3日続伸し、前日比122円高の3万8211円で取引を終えた。そんな10日の適時開示は178件だった。
2024年11月には「旗艦店」を出店
東証プライム上場で「BOOKOFF」などの中古品小売りを展開するブックオフグループホールディングス(ブックオフGHD)は6月10日、カザフスタンでの合弁事業を解消することを発表した。
合弁契約を解消したのは、カザフスタンでリユース店舗を運営する合弁会社J&K TRADING(J&KT)。ブックオフは2022年に先駆けて加盟店を出店していたが、その好調な業績から多店舗展開を見込んで、24年4月に子会社のブックオフコーポレーションが55%、現地の不動産デベロッパーであるKAZ AGRO PROJECT(KAP)が45%出資する形で同国最大の都市、アルマトイに設立された。
取り扱う中古品は日本国内で販売機会に恵まれなかった商材で、リユース店舗「Jalan Jalan Japan」(ジャラン・ジャラン・ジャパン、JJJ)を直営・フランチャイズの両方で展開。今回の適時開示によると、現時点で直営店4店舗を出店しているという。
昨年11月に直営店4店舗目をアルマトイに出店した際、ブックオフは同店を560坪の売り場を持つ旗艦店と位置付け、加盟店を含めて7店舗を展開しているとPR。同じリリースでは、カザフスタンで小売りビジネスを展開する唯一の日本企業ともある。
一方、国内市場での成長に限界がある中、JJJ事業は、ブックオフが23年5月期に掲げた「米国BOOKOFF事業で100店舗」と並ぶ海外進出の中核事業とされ、こちらも世界100店舗への拡大を目指している。昨年11月時点でカザフスタンの7店舗に加え、米国(16店舗)、マレーシア(14店舗)、フランス(3店舗)と40店舗を突破していた。
現地企業への譲渡価格は「非開示」
しかし合弁から1年余り、旗艦店出店から7カ月で〈現地法人の事業環境の変化等に伴い、資本関係を継続することが中長期的な出店拡大においては最適でないと判断〉したという。外形的には“撤退”する格好になったカザフスタン事業。それでは、ブックオフの世界戦略は大きく変わるのか……というと、そうでもないらしい。
〈本合弁解消は、同国(編集部注:カザフスタン)におけるJJJ事業の撤退を意味するものではなく、むしろ、当社のリスクを最小化し、加盟店ビジネスとしてより柔軟で迅速な意思決定のもとで出店を加速する体制への転換を意図したものです。当社としては引き続き商品供給・ブランド管理・営業支援等を通じて、同国での店舗展開を積極的に支援し、目標である「JJJ100店舗」の実現を目指してまいります。〉
どうやらカザフスタンでのビジネスからの完全撤退ではないようなのだ。
とはいえ、今回の合弁解消で、ブックオフのJ&KTへの出資分55%は相手先の現地企業KAPに譲渡される。設立時の資本金は日本円換算で5100万円相当とされ、業績に与える影響は軽微としているが、KAPへの譲渡価格については相手先との合意により開示を控えるとしている。
ちなみに、24年10月には店舗従業員の不正で特別調査委員会の設置、役職者の業績連動報酬減額を余儀なくされたブックオフ。目下、再発防止策を実行している最中にある。海外展開の困難さを感じさせる一件と言えそうだ。
15:30【ブックオフGHD】カザフスタンにおける合弁契約解消と参加資本の譲渡に関するお知らせ
https://ssl4.eir-parts.net/doc/9278/tdnet/2637021/00.pdf