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東京コスモス電機、ウィザス、日邦産業「株主総会」物言う株主対応の“三社三様”

前編からつづく今年6月開催の定時株主総会において、株式の約27%を保有するシンガポールの投資ファンド、グローバル・ESG・ストラテジー(GES)から事実上、取締役の総入れ替えを突き付けられた東証スタンダード上場の電子部品メーカー、東京コスモス電機(神奈川・座間市)。

同社は5月、GESの株主提案に反対を表明。反対リリースでは、GESおよび投資運用会社のスイスアジア・フィナンシャル・サービシズ(SAFS)が、いかに継続的な経営に携わる大株主としての適正を欠くかを複数の理由を挙げて頑強に主張した。中には、最高投資責任者の別ファンドでの過去まで引いて「投機的行動」と糾弾するものまである。

まさにアクティビスト(物言う株主)の攻勢に抗う格好だが、リリースの内容は逆説的に、東京コスモスの切迫感を物語るものとも言える。

学習塾経営のウィザスでも「番頭経営」社長退陣要求

ところで、この6月の総会でGESから株主提案を受けている上場企業は東京コスモスばかりではない。学習塾「第一ゼミナール」や通信制高校などを運営する東証スタンダード上場のウィザス(大阪市)も、東京コスモス同様、取締役7人の選任などの提案を突き付けられているのだ。

GESが5月20日に一般向けに配信したプレスリリースによると、23年よりウィザスへの投資を開始。現在、SAFSの運営ファンド全体で約20%を保有しているという。そして、昨年に引き続き、今年も株主提案を行っている。

GESは、ウィザスは創業家の「堀川家」に対する過剰な配慮や優遇措置、創業家を実質的に保護するために買収防衛策の導入・維持を行っていると主張。また、資本コストや資本収益性を無視した経営を行っており、成長戦略を示すことができていないと追及する。

さらにリリースではウィザス役員の不適格性を責め立てている。

経営陣は〈上場会社を経営するに必要なファイナンスリテラシーを持ち合わせていない〉としたうえで、特に、取締役を30年以上、社長を15年以上務める生駒富男氏では〈創業家に忖度した「番頭経営」から脱却することは不可能〉と断罪しているのだ。

こうした理由を並べ立て、GESは取締役候補7人を立てる一方、生駒社長をはじめとする現在の社内・社外取締役7人中6人を取締役から退任させ、後任社長には竹下淳司常務取締役を充てる選任案を提出(現任の社内取締役のうち2人は執行役員として残留する内容)。さらに、この取締役人事に加えて、買収防衛策の廃止など合計4議案を提出している。

ところが、反対表明のトーンは東京コスモスとは”違い”を見せている。