「創業社長58%vs.少数株主42%」という構図
SCは当然ながら、6月の定時株主総会で株主提案を行っている。①社外役員の支配株主からの独立性に関する情報開示、②期末配当を株主総会で決定することの原則化、③DOE(株主資本配当率)8%または配当性向100%いずれか大きい金額に相当する配当の実施――の3点を提案しているが、ゴールドクレスト側はすべてに反対している。
特に①の「社外役員の支配株主からの独立性」については説明が必要だろう。ゴールドクレストの株主構成を見ると、先述のとおりSCは2位株主だが、筆頭株主はミューアセット(昨年9月末時点で47.42%保有)で、3位はエスディサポート(同8.12%)、安川氏個人は6位(同3.12%)となっている。
そしてSCによると、ミューアセットとエスディサポートの100%株主は「サクセス・プロ」という不動産会社(東京・千代田、非上場)で、このサクセス・プロもサクセス・プロホールディングスなる持ち株会社を挟んで安川氏が100%支配しているという。
SCは、ゴールドクレストの支配株主である、このサクセス・プロをめぐって、ゴールドクレストの社外取締役との関係性を問題視しているのだ。というのも、同社外取の出身母体である大手ゼネコンが、サクセス・プロの大型オフィスビルの施工を手掛けているとし、独立性に重大な懸念があると主張しているのである。
さらに今回、SC側が安川氏の行為が利益相反であると問題視する佐藤秀も、もともとはサクセス・プロが100%を保有する総合建設会社で、23年11月にスーパーゼネコンの大成建設が全株式を取得し、完全子会社化したという経緯があるという。
そもそもゴールドクレストは、1961年生まれで東大工学部卒業後リクルートに入社した安川氏が92年に設立し、設立わずか8年余で東証1部上場を果たした独立系のマンションデベロッパー(22年、プライム市場を経て23年にスタンダード市場に移行)。25年3月期の売上高は292億円、純利益は50億円に上る。
一方、SCは特設サイトで、安川氏は実質的に合計58%を保有する反面、それ以外の42%は「少数株主」であるという構図を描く。設立から30年余り、創業社長にアクティビストが「ガバナンス不全」(SCサイト)の旗を掲げて責め立てる格好となっているわけだ。
当のゴールドクレストは今回の競業避止義務違反問題について、〈安川の行為及び当社の業務運営に法令等に違反するものはないと認識しておりますが、現在、改めて、当社監査役が本提訴請求書の内容について調査し、対応の検討を行っております。〉としている。
いずれにせよ、株主総会は今月6月20日に開催される。
【ゴールドクレスト】株主からの提訴請求に関するお知らせ
https://www.goldcrest.co.jp/ir/pdf/250530.pdf