入居予定だった会社社員は「大成建設株を空売り」
それから2年余り――。この高層ビルの建て直し問題をめぐって社員4人がインサイダー取引の疑いで課徴金納付を命じられることになった大成建設。
監視委のリリースによると、大成建設が建て直しを公表する23年3月16日以前に業務に絡んで情報を入手し、4人の社員がそれぞれ同年3月2日から16日にかけて保有していた同社株を売り抜け、損失を回避したとされる。課徴金の金額他は以下のとおりだ。
・23年3月2日に約401万円(900株)分を売り抜けた社員には課徴金60万円
・23年3月16日13時11分頃に約398万円(900株)分を売り抜けた社員には課徴金57万円
・23年3月6日~7日までに約91万円(200株)分を売り抜けた社員には課徴金15万円
・23年3月7日に約45万円(200株)分を売り抜けた社員には課徴金7万円
一方、監視委は4人の大成建設社員とは別に、同ビルに入居予定だったテナント会社の社員1人についても課徴金を納付させるよう金融庁に勧告している。監視委によると、この人物は施主であるNTT都市開発側の知人から公表前に同じく建て直しの情報を入手、23年3月8日~14日の間に大成建設株2200株を空売りし、128万円の利益を上げたという。課徴金は173万円。なお、監視委はテナント会社の名称は公表していない。
大成建設はリリースで〈内部者取引防止規程を設けるとともに、従業員へのインサイダー取引防止教育に取り組んでまいりましたが、このような事案を引き起こしたことは誠に遺憾であり、当該従業員らについては、今後厳正に処分する方針〉としている。
高層ビルの竣工が1年後に迫る中、社員個人のインサイダー取引とはいえ、またもミソをつけた格好と言える。ちなみに、件のビルは昨年末、「アーバンネット札幌リンクタワー」という名称に決定している。
【大成建設】証券取引等監視委員会による当社従業員に対する課徴金納付命令の勧告について
https://ssl4.eir-parts.net/doc/1801/tdnet/2630285/00.pdf