presented by D-QUEST GROUP

ワイハウ「岩尾俊兵・慶大准教授」就任半年で社長から社外顧問への人事発表【5月27日「適時開示」ピックアップ】

5月27日の日経平均株価は前日比192円高の3万7724円で取引を終えた。そんな5月27日の適時開示は244件だった。

岩尾氏の社長就任以降、売上高は2倍超に

東証スタンダード上場でスマートフォン向けサービスや飲食事業を展開するTHE WHY HOW DO COMPAN(ホワイ・ハウ・ドゥ・カンパニー=ワイハウ、東京・新宿区)は5月27日、社長を務める慶應義塾大学商学部准教授の岩尾俊兵氏(36)が今年8月末をもって社長を退任することを発表した。また、同社会長でカイロス総合法律事務所のパートナー弁護士でもある田邊勝己氏(65)は、5月27日付で「代表取締役最高顧問」に就任したことも併せて発表した。

1989年生まれの岩尾氏は、中学卒業後に陸上自衛隊に入隊し、自衛隊を辞めた後はコンビニや工場勤務を経て高卒資格を取得、その後、慶応大学、東京大学へと進学した。東大史上初の「経営学博士」でもあり、昨年出版した『世界は経営でできている』(講談社現代新書)は15万部を超えるベストセラーとなるなど、今を時めく売れっ子学者として知られる。

ワイハウが昨年11月28日に公表したリリースによると、この日の定時株主総会で社長に就任した岩尾氏の選任理由を、〈全社的ビジネスモデルを一新〉し、岩尾氏が提唱する「企業再“成”プラットフォーム」企業として生まれ変わるためとしていた。

それから半年――。

今回のリリースによると、田邊氏と岩尾氏が協力して慢性的赤字体質・株価低迷状況から再建、企業価値回復を果たしたとあるが、事実、今年4月に発表した25年8月期中間期(24年9月~25年2月)決算では、売上高は前年同期比で2.13倍の8億900万円、営業利益は1億2500万円の赤字から1800万円の黒字に転換。純利益こそ6900万円の赤字に沈んだものの、前年同期1億7500万円の赤字から大きく圧縮した。

そして25年8月期通期の業績についても、売上高は前期比で約10億円増の17億7200万円、営業利益も前期約2.5億円の赤字から1億2900万円の黒字と予測、純利益も500万円ながら黒字になるとしている。

ただ、それは並大抵の努力ではなかったようだ。今回のリリースには、田邊会長は弁護士、岩尾氏は慶大准教授と、両者ともに本業を抱えながら経営再建に奮闘した背景についても触れられている。

〈企業再建専門家(ターンアラウンドマネジャー)・プロ経営者を招聘する余力がなく様々な制約が存在する企業再建期ゆえの特殊事情から生まれたものでありましたが、同時に企業の持続的成長を実現するに際してのリスク要因でもありました〉

これ以外でも、リリースは代表取締役異動の適時開示ではなかなかお目にかかれない熱のこもった内容なのだが、現状、社長の後任人事は決まっていない。この点についてワイハウは、〈社長候補者を社内外から広く人選(招聘・選抜・育成)し当年8月末以後のスムーズな経営体制移行の準備をおこなう〉という。