中国企業側の主張が概ね通った感のあるSIACの中間判断
それから3年半を経て、5月23日の今回の発表に至ったわけだが、SIACの中間判断は、中村超硬側に「債務不履行があった」として、江蘇三超社の主張する契約解除を認めるものだった。
リリースによると、江蘇三超社が求めた①支払い代金9.9億円の返還こそ棄却されたものの、②の債務不履行による直接損害額の支払い、③生産設備の未稼働による逸失利益の支払いについては、〈当社に対し江蘇三超社が被った直接損害額及び利息の支払いが命じられました〉という。
ただ、中村超硬側が江蘇三超社に支払うべき金額については、〈今後の仲裁手続きにおいて、江蘇三超社及び当社がそれぞれ主張を行った上で、仲裁廷により別途決定される〉といい、金額は現時点では未確定のようだ。なお、江蘇三超社が仲裁を申し立てた21年当時と比べても、人民元のレートは高くなっており、日本円ベースでの負担額は膨らむ可能性がある。
ちなみに、④の仲裁費用については各自負担とすることが命じられたとしているが、中村超硬は内容を精査のうえ、支払額を極小化すべく、引き続き江蘇三超社と争っていく考えという。
中村超硬は、ミシン用小ネジのメーカーとして1954年にスタートし、70年に現在の社名に。創業者の急逝を受けて、87年から現社長の井上誠氏(71歳)が事業承継。15年に東証マザーズに上場した。
なお、25年3月期の売上高は約26億円。営業利益こそ700万円の黒字だったが、経常利益、純利益は赤字だった。
08:55【中村超硬】当社に対する仲裁申立の仲裁判断(中間判断)に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250523562764.pdf