東京コスモス電機“合計で30%超”2大株主から株主提案【5月1日「適時開示」ピックアップ】

シンガポール投資ファンドが昨年総会のリベンジ?

東証スタンダード上場で産業機器用可変抵抗器が主力で自動車用部品を手掛ける東京コスモス電機(神奈川・座間市)が、6月開催の定時株主総会において2株主から株主提案を受け取ったことを発表した。

ひとつは、投資ファンドのGlobal ESG Strategy(グローバル・ESG・ストラテジー=GES)から4月21日に受領した提案で、①取締役(監査等委員である取締役を除く)5名選任、②取締役(同)報酬等の額設定を求めるもの。昨年9月末時点で、GESの冠を戴く4名義で合計15%を超える東京コスモス株を保有している大株主だ。

GSEは昨年6月の株主総会でも、余剰金処分や取締役による大株主との個別面談応対義務を求めるなど、3つの議案を提案していた。また、この総会でGESは召集手続きや決議方法を調査する「株主総会検査役」の選任を横浜地裁に申し立て、及川健一郎弁護士が選任されていた経緯がある。

ただ、GESの株主提案のいずれも30%以上の賛成率を超えることはなく否決。それでもGES側は総会後の昨年7月に「東京コスモス電機株式会社の第67回定時株主総会の決議結果について」と題したリリースを公表。

東京コスモス経営陣は財務方針について一貫性がなく、説明責任を果たしていないとしたうえで、今後も〈真に資本効率を追求する経営方針の策定を経営陣に要請〉し、企業価値・株主価値の向上促進を追求すると宣言していた。

事実、GESの運営母体であるシンガポール拠点のSwiss-Asia Financial Services Pte Ltd(スイスアジア・フィナンシャル・サービシズ=SAFS)はさらに東京コスモス株を買い増し、すでに20%を超える保有率となっている。

江戸川区の筆頭株主企業も「取締役選任」の提案

一方、東京コスモスが受け取ったもうひとつの株主提案は、取締役(監査等委員である取締役を除く)3名の選任を求める成成株式会社(東京・江戸川区)からのもの(4月23日付)。成成は2020年設立の貿易、投資、M&A(合併・買収)を事業内容とする企業といい、昨年9月末現在、12.76%を保有する東京コスモスの筆頭株主だ。

代表は黄聖博(コウ・セイハク)なる人物で、同氏は1956年の生まれで、22年6月から1年間、東証スタンダード上場で自動車部品メーカーのイクヨの代表取締役を務めた。ちなみにイクヨの有価証券報告書によると、83年の三菱商事大連事務所を振り出しに、日清製油(現日清オイリオグループ)や三井化学などの日本企業や中国企業でのキャリアが経歴に記載されている。

そして、成成も東京コスモス株式をさらに買い増し、今年4月現在で14%超を保有する状況となっている。 東京コスモスのリリースからは株主提案の詳細は不明だが、SAFSと成成を合わせると、33%を優に超える保有割合。

この状況を前に、経営陣は昨年総会のように株主提案を排除することが出来るのか。