前日4月16日水曜日の日経平均株価は3日ぶりに反落、前日比347円安の3万3920円で引けた。そんな16日の適時開示は131件だった。
親子上場企業にガバナンスど真ん中の株主提案
リリースの中でも市場関係者から特に注目されたのが、夕方18時に発表された東証プライム上場の農薬専業大手、日本農薬の「株主提案に関する書面受領のお知らせ」。
すでにロイターなどで報じられている通り、提案した株主は「株式会社シティインデックスイレブンス」(東京・渋谷区、福島啓修代表)で、言わずと知れた旧村上ファンド系のファンドである。
シティ側の提案は①少数株主を保護し、株主価値向上策について検討するための特別委員会の設置、②取締役の過半数を社外取締役とする――ともに2点の定款変更。
日本農薬は、49.01%(昨年9月末現在)の株式を保有する同じく東証プライムの化学メーカー、ADEKAの連結子会社。旧古河財閥系の企業で、1928年(昭和3年)にADEKAの前身である旭電化工業から農薬部門が切り出されて設立された経緯がある。
旧東証2部上場は63年だが、源流であるADEKAの連結子会社になったのは2018年9月と比較的最近のこと。その一方、昨年9月末時点で10位の大株主として村上世彰氏の長女、野村絢氏の名前もあった(持株比率は0.76%)。
また、シティ側の提案内容のひとつである社外取締役に目を転じると、監査等委員会設置会社の日本農薬の取締役会は12名で構成され、そのうち社外取(監査等委員含む)は6名で、現時点でも半数が社外取という状況だ。ただ、会長と社長はともに日本農薬プロパーであるものの、親会社のADEKA出身者は取締役として3名を占めている。
今回の株主提案を受けてか、日本農薬の株価は本日17日に急上昇。午前の株価は前日比73円高の789円だった。
野村氏はフジ・メディア・ホールディングスの筆頭株主にも登場し、旧村上系ファンドは今もって大いに注目を集めるところ。そんな中での日本農薬への株主提案。「少数株主保護」と「社外取」という、コーポレートガバナンスをめぐるド直球の課題を前面に押し出して“親子上場企業”に切り込んだ格好と言える。
なお、当の日本農薬側はシティの株主提案について、取締役会の意見が決定次第、速やかに発表するとしている。
【日本農薬】株主提案に関する書面受領のお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250416516841.pdf