安易な妥協は「株主代表訴訟」に発展する懸念も
一方、4月7日、原告の三井不レジデンシャルに加え、同社の親会社である三井不動産もこの問題についてリリースを発表している(プライム上場である三井不のリリースは「適時開示情報閲覧サービス(TDnet)」では確認できなかった)。
両社のリリースによると、東京地裁の上記決定では、被告3社の支払い総額は112億円だったが、三井不レジデンシャルが〈被告ら3社によるデータ偽装の法的責任を認めるものとは言えず、国民生活において極めて重要な、すまいの安全性に対する信頼には、法的保護が与えられるべき〉と考えて異議を申し立てたという。
結果、今後も三井不レジデンシャルは〈引き続き被告らの不法行為責任、瑕疵担保責任等に関する当社の主張を適切に展開していく〉としている。
なお、日立ハイテク、旭化成建材のホームページ等についても確認したが、関連リリースを見つけることはできなかった。
ともかくも、問題発生から10年、いまだ当事者企業間で係争が続く横浜傾斜マンション問題。大企業間とはいえ、中途半端な責任追及では許されず、安易な妥協でもしようものなら、経営陣は株主代表訴訟を受けるリスクのある時代――。まさに、そうした時代を反映している訴訟と言えまいか。
ちなみに、件の横浜のマンションは21年に建て替え工事が完了し、住人も再入居しているという。