「指名委員会等設置会社」のガバナンス先進企業
一方、今回、青山氏の調査および処分決定を主導したのは監査委員会だった。
ホンダの監査委は、社外取締役で公認会計士の小川陽一郎氏(元デロイトトーマツグループCEO=最高経営責任者)が委員長を務め、プロパーの鈴木麻子氏(87年入社)と森澤治郎氏(89年同)の常勤監査委員2名、元広島高検検事長で弁護士の酒井邦彦氏、元JT(日本たばこ産業)常勤監査役の永田亮子氏の社外取監査委員2名、合計5名(うち社外取3名)で構成される。
なお、ホンダは21年6月に監査等委員会設置会社から指名委員会等設置会社へ移行。指名委設置会社は東証プライムを含めて全上場企業でわずか100社程度と少数派。ホンダはコーポレートガバナンスの観点から、最も厳格な機関設計を採用している企業と言える。
しかも、青山氏は副社長就任時から「リスクマネジメントオフィサー」も兼務していただけに、日産との統合交渉など業務執行の面のみならず、ホンダにとって痛恨事であるに違いない。
日本を代表する業界のリーディングカンパニーでも周期的に発生する経営幹部による“不適切行為”問題。個人的要素が多いだけに“ヒューマンリスク”の中でも最も制御不能かつ重大なリスクだと言えよう。