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【2025年3月4日「適時開示ピックアップ」】ニデック、牧野フライス、アクアライン、ハリマ共和物産、ユニバーサルエンターテインメント

前日3月4日の東京株式市場は反落、日経平均株価は午前中に1000円に迫る下げ幅だったが、前日比454円安の3万7331円の終値だった。関税政策やウクライナへの武器供与の一時停止に加え、「円安ドル高」に対する日本批判など、米トランプ政権の動きを嫌気したものとされる。

一方、5日の前場は日経平均が25円高と小幅に反発。これまたトランプ政権の出方を窺うような展開になっている。

そんな前日4日の適時開示は198件。コーポレートガバナンスおよびリスクマネジメント関連のリリースをピックアップする。

ニデック、「同意なきTOB」で牧野フライスと初の面談を実施

東証プライムのニデックと、同社が“事前連絡なし”の同意なきTOB(株式公開買い付け)を仕掛けるプライム上場の牧野フライス製作所の経営陣同士が初めて面談を実施したことを、両社がともに発表した。

本誌既報の通り、昨年末のニデックからの買収提案に対し、牧野フライスが要望書や質問状を送付して応酬が続く展開となっている。さる2月には、近く面談を実施する予定であることが公表されていた。

面談は3月4日に行われたが、牧野フライス側が16時半に公表したのに対し、ニデックは1時間遅れの17時半の公表。

〈今後も、頻度を上げて継続的に対象者の経営陣及び特別委員会との間で面談を実施し、更に対話を重ね、本取引に係る提案についてご理解頂けるよう努めて参る」とニデックがリリースする一方、牧野フライスは〈引き続き、経済産業省の「企業買収における行動指針」に則り、企業価値の向上及び株主共同の利益の確保の観点から、ニデックの提案及びその他の代替策等、あらゆる戦略的オプションについて検討を尽く〉すとしている。

今回の同意なきTOBについては、両社ともに企業法務専門の有名弁護士が携わっているといい、業界では静かな注目を集めている。

【ニデック】株式会社牧野フライス製作所(証券コード:6135)の経営陣及び特別委員会との面談の実施に関するお知らせ(3月4日17:30開示)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250304588049.pdf
【牧野フライス製作所】ニデック株式会社との面談実施についてのお知らせ(3月4日16:30開示)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250304587960.pdf

アクアライン「有価証券報告書虚偽記載」で課徴金納付命令を勧告

東証グロース上場で水まわりのトラブル対応などを手掛けるアクアラインは、過年度の有価証券報告書などで訂正報告書を提出する一方、2022年2月期~24年2月期の有報などを対象として、証券取引等監視委員会が4206万円の課徴金納付命令を発出するよう勧告したことを公表した(本誌関連記事)。

【アクアライン】証券取引等監視委員会による課徴金納付命令の勧告についてのお知らせ(3月4日17:20開示)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250304588051.pdf

ハリマ共和物産「従業員が9600万円横領」疑惑調査の進捗報告

東証スタンダード上場で日用品の専門商社、ハリマ共和物産は昨年11月に発覚した従業員による横領疑惑について、現時点での調査状況などを発表した。同社は現在、特別調査委員会を設置して調査を続けるとともに決算発表の延期を公表していた。

事の発端は、昨年11月に同社の内部監査において、従業員が販売先に対して現金での販売を持ちかけ、その代金を自ら集金、横領していた可能性があることが判明したこと。その後の社内調査の結果、19年8月~24年9月の間に横領額合計は約9600万円に及ぶという。

これを受け、ハリマ共和は特別調査委員会を設置。委員⻑には渡辺徹弁護士、弁護士法人北浜法律事務所) 委員には孝岡裕介と藤原成和両弁護士が就任、いずれも弁護士法人北浜法律事務所所属だ。

さらに、25年3月期第3四半期決算の発表を延期する事態に追い込まれているが、ハリマ共和の24年3月期決算は売上高615億円、営業利益は18億円、経常利益は20億円だった。

結果は特別調査委の報告を待つばかりだが、内部統制を含め、同社のコーポレートガバナンスの在り様が問われることは間違いなさそうだ。

【ハリマ共和物産】当社従業員による金銭横領の疑いについて(3月4日17:00開示)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250304587360.pdf

ユニバーサルエンタ「ガバナンス委員会」が報告書を提出

東証スタンダード上場のパチンコ・パチスロメーカー、ユニバーサルエンターテインメントは、さる2月25日、同社設置の「ガバナンス委員会」より提言書を受け取ったことを公表した。

ユニバーサルエンタは昨年9月、経営陣の姿勢やコンプライアンスへの意識、ガバナンス体制が〈株主の委託、従業員の信頼と期待、国内外のステークホールダーの信用に応えるに足るものであるかを検証し、これらを改善・向上することを目的〉として、ガバナンス委員会を設置した。

委員は宮永雅好、宮内宏両氏の2社外取締役と社外監査役の矢澤豊氏が務めるが、ガバナンス委設置の背景には、ユニバーサルエンタの約70%株式を保有する筆頭株主、持ち株会社Okada Holdings Limited(オカダ・ホールディングス=HD)の支配権をめぐる紛争が解決していないことがある。

リリースでは提言書の要約版が添付されている一方、同じリリース上で……

〈前提とする事項について、一部事実の誤認や認定の根拠が不明な点があり、代表取締役社長岡田知裕は、本提言書についてガバナンス委員会に質問を行いましたが、回答はなされておりません〉

〈当社執行部としては、本提言書による提言のうち一部については、結論ありきで、必ずしも当社の問題を正確に把握した上でのものではないと認識しております〉

としたうえで、〈社外役員から構成されるガバナンス委員会からの指摘として真摯に受け止め、2025年2月26日付「役員の異動に関するお知らせ」でお知らせしましたように、取締役会を刷新し、今後、当社のガバナンス体制の向上に向けた施策を検討してまいります〉と結ばれている。

リリースにもある通り、ユニバーサルエンタでは17年、創業者の岡田和生元社長(82歳)が息子たちによって先述のオカダHDから追放されるなど、種々の問題が勃発してきた経緯がある。今回、ガバナンス委の提言が混迷から抜け出せるきっかけとなるか、要注目である。

【ユニバーサルエンターテインメント】ガバナンス委員会提言書の受領に関するお知らせ(3月4日15:30)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250304587859.pdf

(平日連載、3月5日公表分に続く