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【2025年2月28日「適時開示ピックアップ」】日機装、電気興業、ハマイ、アエリア、ビックカメラ

2月28日金曜日の東京株式市場は大幅反落した。日経平均株価の終値は前日比1100円安の3万7155円だった。前日の米国株が下落したことや、為替相場で円高ドル安が進んだことが影響した。そんな28日の適時開示は493件。これらの中から、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ。周辺情報も交えて紹介する。

精密ポンプ「日機装」検査不正か、第三者委員会設置で調査へ

東証プライムで化学用精密ポンプ大手の日機装(東京・渋谷区)は、ポンプ製品の一部で社内規定の基づく検査をしていなかったと発表した。事実関係を解明し、原因を究明するため、第三者委員会を設置することを決めた。

委員長は岸見直幸弁護士(シティユーワ法律事務所)で、委員は同法律事務所所属の鹿倉佑太弁護士と竹内基裕常勤監査役の2人。

日機装は「法律は違反している事象は見当たらず、不具合の発生も確認されていないが、深くお詫び申し上げる」とコメントしている。

【日機装 】特別調査委員会の設置について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250228585343.pdf

通信アンテナ大手「電気興業」株主代表訴訟に参加せず

東証プライムで通信アンテナ大手の電気興業(東京・千代田区)は、一人の株主が起こした株主代表訴訟について、原告・被告のいずれに対しても補助参加しないと発表した(本誌関連記事)。

この株主は、セクハラ行為をしたとされる前社長を相手取り、これに関する調査費用と交際費など2億3600万円を電気興業側に支払うよう求めている。

電気興業はこの株主からの提訴請求について、セクハラ問題は和解済みで交際費についても一部弁済していることから提訴しないという判断をしている。

今回、会社側は補助参加しないことで、元社長の支援もしないことを意思表明している格好だが、そうした判断の妥当性も含めて株主代表訴訟で問われそうだ。

【電気興業】株主代表訴訟に関する当社の対応について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250228585162.pdf

容器用バルブ大手「ハマイ」公取委の排除命令で社長交代

東証スタンダードで容器用バルブ大手のハマイ(東京・五反田)は、河西聡社長が2月28日に退任し、河内茂取締役(大多喜工場長)が同日付で社長に就く人事を発表した。昨年6月に公正取引委員会が出した排除措置命令について経営責任の明確化を図ったと説明している。

公取委は、昨年7月にハマイなど5社が会合を重ね、LPガス容器のバルブの販売価格を引き上げることで合意し、競争を制限したと判断。独占禁止法に違反したとして排除措置命令と、ハマイに対して4億5459万円の課徴金納付命令などを出した。

また、ハマイは役員の降格人事や役員報酬の自主返上についても公表した。

【ハマイ】代表取締役の異動及び役員人事に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250210568814.pdf
経営責任の明確化とコンプライアンスの強化に向けた新制度の構築について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250212571125.pdf

スマホゲーム運営「アエリア」株主提案に反対

東証スタンダードでオンラインゲームを運営するアエリア(東京・港区)は、3月28日の株主総会で審議される株主提案について反対することを決めた。

株主提案は計8本で、1人の株主から出されている。1本は小林祐介社長らの解任を求めているが、アエリアは「当社の成長を牽引している」などと反対。取締役任期が1年のため、議案で議決権行使を勧めている。

【アエリア】定時株主総会の付議議案及び株主提案に関する当社取締役会意見に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250228584801.pdf

「ビックカメラ」公取委勧告を受け“リベート廃止”へ

東証プライムのビックカメラは、2月28日に公正取引委員会から下請代金支払遅延等防止法(下請法)違反で勧告を受けたと発表した。

商品の製造を委託している事業者から販売支援金(リベート)を受け取っていたことが、下請法に定められた「下請代金の減額の禁止」に当たると判断した。

2023年7月から24年8月の1年余りで51社から5億5746万円を受け取っていた。ビックカメラはこれらを事業者に返金するとともに、リベートの受け取りを廃止した。

統合報告書(23年8月期)によると、ビックカメラは「コンプライアンス委員会」を設置、毎月1回会議体を開催しているという。さらに、「コンプライアンスマニュアル」を役職員に配布していることも公表している。

そのような取り組みの中で「リベート」は問題視されなかったということか。

【ビックカメラ】公正取引委員会からの下請代金支払遅延等防止法に基づく勧告について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250227583588.pdf

(平日連載、3月3日公表分に続く

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