2月5日水曜日の東京株式市場は反発した。日経平均株価は前日から33円上昇し、3万8831円で終えた。前日の米国株の値上がりを引き継いだ。そんな2月5日の適時開示は471件だった。これらの中から、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ。周辺情報も交えて紹介する。
「ニデック」が「牧野フライス」に“対面での話し合い”求める
東証プライムのニデックは 、株式公開買い付け(TOB)を予定している牧野フライス製作所から寄せられた要請書に対する回答書を出したと発表した(本誌関連記事)。
回答は従来の主張を繰り返したもので、これまでの書簡の確認を求めた。その上で、対面での話し合いを強く要望し、「いかなる理由にてこれまでご了承頂いていないのでしょうか? その理由についてお聞かせ願えれば幸いです」と、丁寧な言葉で綴られているが、ニデックは強気の構えだ。
牧野フライスはどう出るのか。
【ニデック】貴社取締役会から受領した要請書につきまして
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250205563851.pdf
工作機械メーカー「浜井産業」がMBO“上場の意義薄れた”
東証グロースで工作機械メーカーの浜井産業(東京・品川区)は、自社買収(MBO)を実施すると発表した。社長の武藤公明氏が所有する会社がTOBにあたり、上場廃止になる。浜井産業の取締役会も賛同し応募を推奨している。
理由として武藤氏らは、構造改革の推進で株価が下落する可能性があり、株主に迷惑をかけることを挙げた。
このほか武藤氏は、上場の意義についても言及。同社は1963年に東証二部に上場しており、「知名度や社会的信用など様々なメリットを享受してきた」としながらも、「近時の低金利では間接金融が調達手段として優れている」と指摘し、上場の意義が薄れていると判断としたという。
昨年から“MBOブーム”とも言われるが、このあたりの理由は多くの企業にも当てはまる。
また、上記の通り、ニデックが工作機械同業の牧野フライスに対し事前説明なしでTOB手続きを進めている。上場している限り、突然の買収劇に巻き込まれる可能性もある。今後もMBOブームは続くものと見られる。
【浜井産業 】MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250205564093.pdf
資産暗号「クシム」監査法人が辞任申し出
東証スタンダードでブロックチェーンの開発や暗号資産の交換所を運営するクシム(東京・港区)は、 監査法人から辞任の通知を受け取ったと発表した(本誌関連記事)。
辞任するのはUHY東京監査法人で、「(同監査法人から)品質管理の観点から監査契約の継続が困難」として辞退の申し出があったという。クシムは、後任の一時会計監査人の選定を始めた。
クシムでは、取締役の一人が社内情報を漏洩したとして辞任勧告を受けるなど、社内が混乱している。
【クシム】会計監査人からの退任通知受領に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250205564046.pdf
「ホンダ」と「日産」の統合協議が破談か
東証プライムの日産自動車は、ホンダとの経営統合を撤回するという報道について、「当社が発表したものではありません」としながらも、「報道の事実も含めて様々な議論を進めている段階であり、2月中旬を目途に方向性を定め、発表させていただく予定です」とのコメントを出した。
また、ホンダも同様の発表文を公表した。
注目すべきは、「報道の事実も含め」とあるように事実上、追認しているところだ。各種報道は、ホンダが日産を子会社化する提案したことで、協議が暗礁に乗り上げたと報じている。
奇しくもさる2月4日、東京高裁がカルロス・ゴーン元会長の側近だったグレッグ・ケリー被告の控訴を棄却し、一審(懲役6カ月執行猶予3年)を支持する判決を言い渡したばかり。ゴーン事件がこれでおおむね決着したほか、日産は2年前にはルノーとも資本関係を見直し、対等になっていた。
日産側からすれば、やっとルノーという大株主の支配から抜け出したところで、ここでホンダの軍門に下るワケにはいかなかったということか。
【日産自動車】Hondaと当社に関する一部報道について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250205564002.pdf
【ホンダ】日産自動車株式会社と当社に関する一部報道について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250205563915.pdf
ベビー服大手「キムラタン」が“継続企業の前提”を解消
東証スタンダードでベビー服大手のキムラタン(神戸市)は、「継続企業の前提に関する重要な事象等」との記載を解消したと発表した。キムラタンは倒産リスクが薄まったようだ。
理由としてキムラタンは、事業ポートフォリオを転換させ、2015年3月期以来9期ぶりの黒字転換を果たしたことを挙げている。
キムラタンは“低位株企業”として知られる。この数年、子ども服を縮小し、不動産事業にシフトしてきた経緯がある。
【キムラタン】「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載解消に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250205563873.pdf
電子部品「芝浦電子」台湾企業からTOB
東証スタンダードで半導体・電子部品メーカーの芝浦電子(さいたま市)は、台湾の電子部品会社YAGEO が、芝浦電子を対象としたTOBを始めるという発表があったことを明らかにした。
芝浦電子は対応を協議して賛否を表明するとしているが、「事前に連絡は受けていない」という。
【芝浦電子】YAGEOCorporation による当社株式に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250205564317.pdf