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【2025年2月4日「適時開示ピックアップ」】ダイワ通信、藤倉コンポジット、パナソニックHD、イリソ電子、工藤建設、富士ソフト

2月4日火曜日の東京株式市場は反発した。日経平均株価は前日から278円上昇し、3万8798円で終えた。トランプ米大統領がカナダとメキシコに対する関税の税率引き上げについて1カ月ほど延期することを表明したことを好感した。そんな2月4日の適時開示は340件だった。これらの中から、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ。周辺情報も交えて紹介する。

「ダイワ通信」売り上げの過大計上の疑いで第三者委設置

東証スタンダードでソフトバンクのモバイルショップなどを展開するダイワ通信(石川・金沢市) は、外部の弁護士らによる第三者委員会を設置すると発表した。

今年1月中旬、子会社のシステムセキュリティ「ディーズセキュリティ」が絡んだ不適切な取引に関する通報があり、売り上げの過大計上と簿外の在庫の可能性があるという。

第三者委員会の委員長は永口学弁護士(岩田合同法律事務所札幌オフィスパートナー)、 委員は同事務所の武藤雄木弁護士(公認会計士)、公認会計士の垂水敬(太陽グラントソントン・アドバイザーズパートナー)の2人。事実関係や類似の取引実態などを調べる。

【ダイワ通信】第三者委員会設置及び 2025 年3月期第3四半期決算短信の開示が四半期終了後45日を超えることに関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250204562591.pdf

工業用ゴム「藤倉コンポジット」製造の“救命いかだ”に不具合

東証プライムで、工業用ゴム部品メーカーの藤倉コンポジット(東京・品川区)は、膨脹式の「救命いかだ」の投下試験で不具合が確認されたため、部品や製品の無償交換を始めると発表した。

いかだが膨脹する過程で商品の一部が損傷する可能性があるという。ただ、同社によると、いかだは空気を入れた空間(気室)が2カ所あり、ひとつだけで十分な浮力があると説明している。

【藤倉コンポジット】膨脹式救命いかだ部品または一部製品の無償交換について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250204562465.pdf

「パナソニックHD」が経営改革発表 テレビ事業の売却、検討か

東証プライムのパナソニックホールディングス(HD)は、2025年度にグループ経営改革を実施すると発表した。

グループの目指す姿として「ソリューション領域」「デバイス領域」「スマートライフ領域」の3つを設定した。

冷蔵庫や洗濯機、テレビを扱う子会社のパナソニックを発展的に解消し、家電事業はグループの家電事業を集約した会社を設立して再建を目指すという。テレビ事業の売却の検討に入るという報道もあった。

【パナソニックホールディングス】グループ経営改革(要旨)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250204562173.pdf

「イリソ電子工業」黒字でも構造改革急ぐ

東証プライムで自動車用コネクタなどの電子部品を製造するイリソ電子工業(横浜市) は、人事を中心とした構造改革に着手すると発表した。

具体的には、本社と茨城工場の人員の最適化を図るため、希望退職者を募集する。対象は今年6月30日時点で50歳以上の社員で約50人を募る。同社の有価証券報告書によると、日本国内の従業員は586人(24年3月31日現在)で1割近い。

ちなみに、イリソ電子工業は黒字が続いている。しかし、今回の構造改革を推し進め、7億円の利益の改善を見込む。優秀な人材の採用や維持にもつなげていく考えだ。

なお、黒字でもリストラに取り組む企業が増えており、東京商工リサーチが今年1月13日に発表した昨年(2024年)分の集計では、「早期・希望退職募集」は57社で前年の41社より16社増えた。この中で直近の決算で黒字だった企業が34社と6割。募集人員の合計は1万人超で、前年の3倍の水準だった。

【イリソ電子工業】構造改革の実施及び特別損失の計上等ならびに通期業績予想の修正に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250203561723.pdf

「工藤建設」原価管理不正で社内調査委の報告発表

東証スダンダードの工藤建設(横浜市)は不適切な原価管理の付け替えについて、社内調査委員会の調査報告書を公表した。

分譲住宅の新設工事で、前渡金を受け取った会社の下請け業者が現場の資料などを持って行方不明になるなどトラブルが発生した。また、追加工事が発生しても施主に請求できなかったりしたため、赤字を回避しようと別の案件に費用を付け替えるという不適切な原価管理があったことを記している。

決算への影響は今後とりまとめ、有価証券報告書を訂正するとしている。

ちなみに、今回の調査委の委員長を務めたのは竹内朗弁護士(プロアクト法律事務所代表)で、日本公認不正検査士(ACFE JAPAN)理事。先日、フジテレビが設置した中居正広氏の問題を調べる第三者委員会の委員長も務めている。

【工藤建設】社内調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250204562669.pdf

KKR「富士ソフト」のTOB価格を引き上げと発表

東証プライムの富士ソフトは、同社に対して株式公開買い付け(TOB)の手続きに入っている米投資ファンドのKKRが、買付価格を1株当たり9451円から9850円に引き上げたと発表した。買付期間も2月7日から2月19日まで延長する。

KKRはこの値上げによって富士ソフトの買収を競っていたベインキャピタルを押さえ込む考えだ。

【富士ソフト】(変更)「(追加)FK 株式会社による当社株券等に対する 第2回公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」の一部変更について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250204562893.pdf

(平日連載、2月5日公表分に続く

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