2月3日月曜日の東京株式市場は大幅に反落する大荒れの一日となった。日経平均株価の終値は前日1月31日比で1052円値下がりして3万8520円で引けた。トランプ米大統領のカナダやメキシコ、中国に対する関税の税率引き上げを株式市場が嫌気した格好。
そんな2月3日の適時開示は、2025年3月期の第3四半期決算の開示も進み、504件と多かった。これらの中から、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ。周辺情報も交えて紹介する。
「京セラ」が政策保有株の縮減を加速
東証プライムの京セラは、東証が求める「コーポレートガバナンス・コード」(CGコード)への対応を強化したと公表した。
強化したのは、《原則1-4》の政策保有株式(持ち合い)の項目で、これまでは「今後5年間で3分の1程度を売却」としてきたが、「今後2年間で3分の1程度を売却」と、期間を5年間から2年間に縮めた格好だ。
京セラは、設立にも関与したKDDI(当時は第二電電)の株式の売却を推し進めることも公表している。
CGコード原則1-4では、政策保有株式の縮減に関する方針や考え方を開示するよう求めている。一部の経営者や関係者の間からは「一律に縮減を求めるべきではない」と意見も出ているが、上場企業の間では確実に縮減が進んでいる。
【京セラ】コーポレートガバナンス・コード「原則1-4政策保有株式」への対応変更に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250131559701.pdf
「味の素」藤江社長が体調不良で急遽社長交代
東証プライムの味の素は1月3日付でCEO(最高経営責任者)の藤江太郎社長(63)が代表権のない会長に就き、中村茂雄執行役常務(57)が社長に昇格する人事を発表した。
味の素の発表によると、藤江氏が昨年12月下旬に体調を崩し、現在は回復基調とはいうものの、完全な回復には一定の時間がかかる見通しという。本人から、経営の空白のリスクを最小にするため、辞任の申し出があったという。
このため、指名委員会で非常時の「CEOサクセッションプラン」(後継者計画)に従って協議した結果、中村氏が選ばれた。 藤江氏は2022年4月に社長になったばかりで、商品価格の引き上げに積極的な姿勢を見せたことで注目を集めた。また、中期経営計画を廃止するなど、独自性を持った経営トップとして知られている。
【味の素】代表執行役の異動に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250130558521.pdf
5月退任の十倉経団連会長「住友化学」でも会長から相談役に
東証プライムの住友化学は4月1日付で、経団連会長を務める十倉雅和・代表取締役会長が、取締役相談役に退く人事を発表した。 経団連会長も、今年5月に日本生命の筒井義信会長に交代する予定。戸倉氏は6月の株主総会をもって取締役からも外れる。
後任の会長には岩田圭一社長が就き、社長には水戸信彰専務執行役員が昇格する。 住友化学は、医薬品の住友ファーマが不振で、石油化学事業も低迷したため2024年3月期は過去最大となる3118億円の当期純損失を計上しており、経営の立て直しが急務となっている。
東証プライムの住友化学は4月1日付で、経団連会長を務める十倉雅和・代表取締役会長が、取締役相談役に退く人事を発表した。 経団連会長も、今年5月に日本生命の筒井義信会長に交代する予定。戸倉氏は6月の株主総会をもって取締役からも外れる。
後任の会長には岩田圭一社長が就き、社長には水戸信彰専務執行役員が昇格する。
住友化学は、医薬品の住友ファーマが不振で、石油化学事業も低迷したため2024年3月期は過去最大となる3118億円の当期純損失を計上しており、経営の立て直しが急務となっている。
【住友化学】代表取締役および役員の異動に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250203560928.pdf
「帝人」も……監査等委員会設置会社への移行、今年で14社
東証プライムの帝人は、今年6月の株主総会を持って監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行すると発表した。
理由として、取締役会の意思決定の迅速化のほか、監督機能の強化などを挙げている。 監査等委員会設置会社に移行する企業は絶えず、今年1月に入ってからだけでも、住友商事や伊藤ハム米久ホールディングスなど、すでに14社となっている。監査役会設置会社は減る一方だ。
【帝人】監査等委員会設置会社への移行に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250203560819.pdf
「伊藤忠食品」取締役でなく執行役員……人事の肩書で“凡ミス”訂正
「伊藤忠食品」取締役でなく執行役員……人事の肩書で凡ミス訂正
東証プライムの伊藤忠食品は、1月31日に発表した人事のリリースの一部を訂正した。4月1日付で取締役・専務執行役員になる福嶋義弘氏の現在の役職を「取締役・常務取締役」としていたが、これを「取締役・常務執行役員」に訂正した。
単純ミスではあるが、「専務」や「常務」が取締役に付くケースもあれば、執行役員に付くところもあり、気を付けたいところだ。
【伊藤忠食品】(訂正)「役員の異動に関するお知らせ」の一部訂正について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250203560753.pdf