1月27日の東京株式市場は続落した。日経平均株価は前日から366円値下がりし、3万9565円で終えた。米国株の値下がりが響いた。そんな27日の適時開示は183件。これらの中から、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ。周辺情報も交えて紹介する。
インターネット「ACCESS」“米国子会社の状況を把握”とガバナンス委員が報告
東証プライム上場でインターネット関連事業のACCESS(東京・千代田区) は、米国の子会社で発覚した不適切な会計処理の疑惑について、社外取締役らでつくるガバナンス委員会から活動報告を受け取ったと発表した。
リリースではその報告も公表し、役員らを米国に派遣して状況把握と資産の保護に当たったという。今後、社外の弁護士や会計士らでつくる特別調査委員会と協力して、ガバナンスの確立と健全な事業継続に取り組んでいく、としている。
【ACCESS】ガバナンス委員会活動報告
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250127555621.pdf
ヘルスケア通販「Jフロンティア」不適切会計発覚で監査人交代
東証グロース上場で医薬品や健康食品の通販事業を手がけるジェイフロンティア(Jフロンティア、東京・渋谷区) は、1月22日に開かれた監査役会において、会計監査人を監査法人アヴァンティアから監査法人ハイビスカスに交代したと発表した。
今回退任した監査法人アヴァンティアは、広告をめぐる不適切な会計処理があった Jフロンティアの内部統制について意見不表明にしていた。
一方、交代の理由について、 Jフロンティアは「長年、監査を継続している」「監査コストの見直し」などを理由に挙げている。2024年5月期の有価証券報告書によると、アヴァンティアの9年間、監査を担っているが、他の上場企業においては、長いケースで50年以上も続く監査法人もあり、9年は極端な長さとは言えない。
【ジェイフロンティア】会計監査人の異動に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250127555439.pdf
「HIS」本体も雇用助成金を不正受給、自主返還へ
東証プライムのエイチ・アイ・エス(HIS)は、雇用調整助成金について東京労働局から一部の過誤が指摘されたと発表した。これを受け、約62億円を自主返還することを決めた。
HISが依頼した弁護士が調べたところ、雇用調整助成金などの受給対象とした休業日のうち、約2割強で従業員の就労があったと判断した。HISは日単位で雇用調整助成金等の申請をしていたが、1件のメールの返信という短時間の作業であっても、日単位で申請してはいけないと判断したと説明している。 また、子会社のナンバーワントラベル渋谷で雇用助成金の不正受給があり、東京労働局から27日、変換通知書を受け取ったと発表した(本誌関連記事)。返還金額は1億3165万円だった。
【エイチ・アイ・エス】当社における雇用調整助成金等の受給に関する自主返還のお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250127555469.pdf
当社連結子会社における雇用調整助成金の不正受給について(続報)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250127555481.pdf
石川・印刷会社「ウイルコHD」社外取は“常勤ではなく非常勤”と訂正
東証スタンダード上場の印刷会社、ウイルコホールディングス (HD、石川・白山市) は「改善計画・状況報告書」の一部を訂正した。
今年1月24日に公表した「改善計画・状況報告書」内の「新任取締役の選定理由」において、社外取締役で公認会計士の高野寧績氏について〈常勤の社外取締役監査等委員として第三者的な見地から、取締役監査等委員と共に〉と記載していたが、それを〈社外取締役監査等委員として第三者的な見地から、常勤の取締役監査等委員と共に〉に訂正するとした。
ウイルコHDは雇用調整助成金の不正受給が発覚し、若林圭太郎社長が辞任している(本誌関連記事)。
【ウイルコホールディングス】(訂正)「改善計画・状況報告書」の公表に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250124555147.pdf
日枝相談役は欠席「フジHD」10時間超会見の不毛
東証プライムのフジ・メディア・ホールディングス(フジHD)は、元タレントの中居正広氏が女性とトラブルになった問題の責任を取り、子会社のフジテレビの嘉納修治会長と港浩一社長が辞任すると発表した。
嘉納氏はフジHDの会長も退く。フジテレビの新社長には、フジHDの清水賢治専務取締役が就く。
この日、1月27日午後4時から始まった会見には500人ほどの記者が詰めかけ、28日午前2時23分に終了する記録的な会見となった。会見では、コンプライアンス担当の部局に知らせなかったことも明らかに。女性のプライバシーを守るため、港氏ら少人数で対応したためと説明した。
フジHDは、人権を尊重して事業活動に取り組む「グループ人権方針」を策定しているが、嘉納氏と港氏は会見で「(女性の)人権に対する意識が足りなかった」と述べ、辞任する理由のひとつとした。
一方、1983年から取締役、88年からはフジテレビ社長を務め、今もフジサンケイグループ代表として、グループの“最高実力者”とされる日枝久元社長・会長(87、現フジHDおよびフジテレビ取締役相談役)が会見に出席することはなかった。
92年、“疑似創業家”としてフジサンケイグループに長く君臨してきた鹿内家を追放するクーデターを、フジテレビ社長(当時)として敢行したことが日枝氏の30年以上にわたる権力の源泉とされるが、会見で出席を求める声が相次いだものの、そうした背景を詳細に取材している記者はそこにいたのか。そして、第三者委員会は、そうしたフジテレビが抱える歴史の深奥に迫ることが出来るのか。フジのコーポレートガバナンスを追及する側の力量も問われる。
【フジ・メディア・ホールディングス 】当社及び当社子会社の代表取締役の異動について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250127555731.pdf