1月20日月曜日の東京株式市場は反発した。日経平均株価は前日比で451円値上がりし、3万8902円で終えた。前日の米国株を好感した。そんな20日の適時開示は132件。これらの中から、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ。周辺情報も交えて紹介する。
オンラインゲーム開発「ガーラ」東証に“改善報告書”を提出
東証スタンダードでオンラインゲームのガーラ(東京・渋谷区)は、東京証券取引所に改善報告書を提出した。昨年5月にソフトウエアの資産計上で韓国における連結子会社において不適切な会計処理が発覚。外部の有識者による特別調査委員会の調査報告書を受けて、昨年11月に有価証券報告書を訂正していた。
同日に提出された改善報告書でガーラは原因として、①経営陣の会計基準等の遵守に向けた認識不足、②管理部門の脆弱性、③開発プログラムの管理及び契約関係の整理の不十分性、④役員によるモニタリング機能の不十分性、⑤複数の会計基準の混在による複雑化の6点を挙げている。
その中には「難しい会計上の判断が求められるにもかかわらずゲームの開発費に関する会計方針が当社グループには存在しておりませんでした」とも記されている。
さらに調査を受けて、①経営陣の会計基準に遵守に向けた認識の強化、②管理部の強化、③開発プロジェクトの管理及び契約関係の整理の強化、④役員によるモリタリング機能の強化、⑤適用する会計基準の統一といった再発防止に向けた改善措置が記された。
【ガーラ】東京証券取引所への「改善報告書」の提出に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250120552803.pdf
「ノーリツ」英国系ファンド株主が“自社株買い拡大”等を要求
東証プライムで給湯器のノーリツは、3月27日開催予定の株主総会で、株主で英投資ファンドのNIPPON ACITVE VALUE FUND PLC (NAVF、ニッポン・アクティブ・バリュー・ファンド)から株主提案を受けたと発表した。NAVFは全体の3.23%の株式を保有している。
提案は、①取締役に対する業績連動型の株式報酬の額を8000万円から2億円に引き上げる、②同社が約286億円の現金に加え、400億円の政策保有株を抱えており資本効率が不十分。最大約87億円の自社株買いを実施して資本効率を引き上げる、③社外取締役を過半数にする(現在は3分の1)というもの。
ノーリツは慎重に検討したうえで賛否を公表するとしている。
【ノーリツ】株主提案に関する書面受領のお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250120552612.pdf
「アーキテクツ・スタジオ・ジャパン」補欠の監査等委員取締役が執行役員に異動の違和感
東証グロースで建築家設計住宅を提供するアーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ、東京・千代田区)は、補欠の監査等委員取締役の玄葉俊雄氏が辞任し、執行役員(管理部長)に就くと発表した。玄葉氏は昨年6月の株主総会で現役職に承認されたばかりだった。
ASJのリリースによると、玄葉氏は経営管理業務の経験があり、コーポレートマネージメントの強化のために要請し、快諾を得たという。1971年生まれの53歳で、会計事務所や幸楽苑ホールディングスなどを経て補欠の監査等委員になっていた。
補欠とはいえ、社長や役員の監査・監督に当たる監査等委員と、執行側の管理部長とは対極とも言える立場にあり、突然の“変身”に驚く人もいるのではないか。
【アーキテクツ・スタジオ・ジャパン】執行役員の就任及び補欠の監査等委員である取締役の辞任に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250120552937.pdf
「アサヒペン」元子会社従業員が“2億円横領”で逮捕
東証スタンダードのペンキメーカー、アサヒペン(大阪市)は、子会社アサヒロジストの元従業員が業務上横領で逮捕されたと発表した。
アサヒペンによると、アサヒロジストの経理だった元従業員は2023年1月から24年5月の間に、約1億300万円の現金を親族らの口座に送金したほか、約7000万円を着服するなど約2億円を、私的に流用していたという。
アサヒペンは昨年5月、懲戒解雇するとともに兵庫県加東警察署に刑事告訴していた。
【アサヒペン】当社連結子会社の元従業員の業務上横領による逮捕について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250120552846.pdf
(平日連載、1月20日公表分に続く)