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【2025年1月8日「適時開示ピックアップ」】富士ソフト、ユーグレナ、建設技術研究所、TOC、昭和HD

1月8日の東京株式市場は反落した。日経平均株価は前日から102円下げた3万9981円で引けた。前日の米国株の値下がりを受け、嫌気売りに押された格好。そんな8日の適時開示は224件。この中からコーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。

《続報》「富士ソフト」TOBで、ベインが“秘密情報破棄”

前日既報の通り、株式公開買い付け(TOB)を進める米投資ファンドKKRから、TOBで競合する米ベインキャピタルが持つ「秘密情報」を破棄するよう同社を提訴することを要求されていた東証プライム上場の富士ソフト

この問題について、富士ソフトはベインから「秘密情報の廃棄を実施した」との連絡があったことを明らかにした。

同社はKKRのTOBに賛同し、ベインには反対した経緯からの問題だが、これで一件落着なるのか。企業支配権市場をめぐる投資ファンドの鞘当ての渦中に放り込まれた格好の富士ソフト。同社のコーポレートガバナンスの行方についても、注目される。

【富士ソフト】ベインキャピタルによる当社秘密情報廃棄の連絡に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250108547879.pdf

日本を代表するベンチャーのユーグレナが希望退職

東証プライム上場で、ミドリムシを活用した食品や化粧品を製造、販売するユーグレナは、2月に50人ほどの希望退職者の募ると発表した。特別退職金として2億5000万円の特別損失を計上する。

ユーグレナの2023年12月期の有価証券報告書によると、従業員は242人で、5人の1人が対象になる。売上高は464億円ながら、26億円の当期純損失と、赤字体質だった。

それでも、24年12月期の中間決算では3億円の営業黒字をあげ、「黒字体質を定着させるためには、当社組織と事業構造のさらなる抜本的な改革が必要と判断」とリリースで説明している。今後、不採算領域の撤退・縮小やコーポレート部門の圧縮を進めるという。

「ミドリムシで世界を救う」がキャッチフレーズのユーグレナは05年設立で、日本を代表するベンチャー企業として知られる。創業者の出雲充氏は常に緑のネクタイをつけ、人当たりも良く、経団連の審議員会副議長にも抜擢されたこともあった。

バイオ燃料を航空機に活用することも掲げているが、創業からすでに20年、期待を集めた、かつてのスタートアップはどうなるのか。コーポレートガバナンス上からも要注目である。

【ユーグレナ】希望退職者の募集に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250108547908.pdf

「建設技術研究所」国交省整備局長出身の副社長が死去

東証プライム上場で建設コンサルタントの建設技術研究所は、代表取締役を務める名波義昭副社長が7日に死去したと発表した。

名波氏は65歳で、1982年建設省(現国土交通省)に入り、2016年6月に国交省四国地方整備局長。17年11月に建設技術研究所に入社し、技術本部長や専務執行役員を歴任し、23年3月に副社長(ガバナンス統括本部長)に就任していた。

【建設技術研究所】代表取締役副社長執行役員の逝去および異動に関するお知らせ(訃報)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250108547953.pdf

ホテルニューオータニ運営「TOC」創業家出身会社社長が死去

東証スダンダードでビル賃貸事業を中心とした総合デベロッパーのテーオーシー(TOC)は、大谷和彦会長が78歳で死去したと発表した。大谷氏は、ニュー・オータニの社長も務めている。

ホテルニューオータニ(東京・千代田区)のホームページによると、大谷氏は、祖父である米太郎が東京オリンピックのために政府の要請を受けて、1964年に開業したホテルニューオータニ(現ニュー・オータニ)に入社。グループのホテルやレストランの開業や運営に携わってきた。

政府や外交の場の式典など国家的事業に貢献。社長在任31年間を通じて、都心最大級の規模を誇る新日本型国際ホテル都市へと導いたと記している。

ただ、2022年には安倍晋三元首相の「桜を見る会」夕食会(15~19年)をめぐって、安倍氏側にニューオータニが便宜を図っていたという疑惑が浮上、世の指弾を受ける格好となった。

【テーオーシー】代表取締役会長の逝去及び異動に関するお知らせ(訃報)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250108548021.pdf

「昭和HD」株主総会の定足数が満たせず“継続会”開催

東証スタンダード上場でゴム製品や和菓子など種々雑多に多角化する昭和ホールディングス(千葉・柏市)は1月9日、東京・江東区で株主総会の「継続会」を開くことを公表した。この継続会は、昨年の6月25日の株主総会の一部で、今回、改めて取締役5人の選任議案などを提案する。

昭和HDのリリースによると、一部の株主からの議決権行使がなく、総会の議決に必要な定足数を満たせていない状態が続いていたという。今回の継続会についても「開示の時期が遅くなったことをお詫び申し上げます」とコメントしている。

会社法では、株主総会の決議には過半数の株主の出席を求めている。

なお、昭和HDは創業1886(明治19)年創業で、2009年に昭和ゴムから昭和HDに社名変更。現在、持ち株会社傘下の「昭和ゴム」は09年に新設分割された法人。片や昭和HDの24年3月期有価証券報告書によると、同社単体の従業員数は「1名」といい、株価は40円台という状況だ。

【昭和HD】第123回定時株主総会の継続会の開催日等に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250108547958.pdf

(平日連載、1月9日公表分に続く

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