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【2024年10月21日「適時開示ピックアップ」】エスポア、ハワイアンズ、ホープ、ペイクラウド、TBS 他

週明け10月21日月曜日の東京株式市場は反落した。前日から27円安い3万8954円で引けた。大きな取引材料がなかったものとみられる。21日の適時開示は107件で、この中からコーポレートガバナンスやリスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。

名証「エスポア」名誉棄損等で投資運用相談業者から訴えられる

名証ネクスト市場上場でマンション分譲のエスポアは、損害賠償訴訟を提起されたと発表した。訴えたのは「北浜山田亨事務所」で、エスポアが今年7月5日に開示したプレスリリースが名誉棄損と営業権を侵害としたとしている。

当該のプレスリリースは、《JPIW合同会社への質問事項の送付に関するお知らせ》というタイトルで、株主のJPIW社がエスポアの全取締役の解任などを求めて臨時株主総会の招集を求めてきたという内容。これに対してエスポアは「当社の現経営陣に対する批判に終始し、具体的な経営に関する計画ないしビジョンは一切不明」などと反発しながら、JPIW社を含む複数の株主が実質的に共同してエスポアの株式を大規模に買い集めている可能性を指摘していた。

エスポアは北浜山田亨事務所による今回の請求について、「根拠のないものと考えており、本件訴訟において当社の正当性を主張し争う所存」としている。北浜山田亨事務所はホームページによると、大阪市に事務所を置く資産・投資運用の方針に関する相談業務の会社で、山田亨氏が代表を務めている。エスポア側はリリースで「北浜山田亨事務所こと山田亨氏」と表現しているが、事務所の「顧問」には警察OBなどがズラリと並んでいる。

【エスポア】当社に対する損害賠償請求訴訟の提起に係る訴状受領に関するお知らせhttps://www.release.tdnet.info/inbs/140120241021500601.pdf

家具小売り「マナベインテリア」の“継続企業の前提”記載なくなる

東証のプロ向投資家け市場、東京プロマーケット上場で家具小売りのマナベインテリアハーツ(大阪)は、21日に発表した2025年5月期の第1四半期決算で、「継続企業の前提に関する注記」の記載がなくなったことを明らかにした。輸入家具会社の攻勢など家具の販売競争は激しく、23年5月期~24年5月期は営業損失や純損失を計上。金融機関が融資を引き上げる理由となる財務制限条項に一部抵触し、 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事態になっていた。

25 年5月期第1四半期でも赤字は続いているが、通期では営業黒字を見込んでいるという。その理由として、①インスタグラムや自社アプリを活用した情報発信、②ポイントや不要家具引取のキャンペーンなどを積極的に実施する、③不採算店舗の撤退④役員報酬の減額などを挙げ、「必要な資金は確保できる見込みで資金繰りの懸念はない」と強調している。

「継続企業の前提」はゴーイング・コンサーンとも呼ばれ、財務が悪化して資金難に陥るなど将来的に事業活動が続けられなくなる可能性がある状況を指す。通常は監査法人などと相談のうえで財務諸表に記載する。

【マナベインテリアハーツ】「継続企業の前提に関する注記」の記載解消に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241018500106.pdf

いわき「ハワイアンズ」フォートレスによるTOBを日程変更

東証スタンダード上場で、福島県いわき市で温泉施設「スパリゾートハワイアンズ」を運営する常磐興産は、公開買い付け(TOB)を実施している米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループがTOBの日程を変更したと発表した。当初は9月10日から10月24日までの30日営業日にしていたが、7日間伸ばして11月5日までの37日営業日になった。外為法の手続きを理由にしている。TOBは2回の予定で、2回目も11月1日から12月2日の予定を11月13日から12月10日までにする。

常磐興産はこのTOBに賛同表明して株主に応募を推奨している。順調に進めば、常磐興産はフォートレスの完全子会社になって非上場化する。フォートレスは日本国内のホテルやゴルフ場に投資。宮崎県の複合リゾート施設「フェニックス・シーガイア・リゾート」の開発・運営にも参画しているほか、2023 年に株式会社そごう・西武にも投資している。

スパリゾートハワイアンズは、東日本大震災復興の象徴とされたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、赤字経営が続いた。23年3月期には黒字転換したが、財務体質の強化のため、TOBを受け入れて米国のファンドの傘下で経営基盤を強化するという。

【常磐興産】(変更)公開買付届出書の訂正届出書提出に伴う「常磐興産株式会社株式(証券コー ド:9675)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」の変更に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241021500509.pdf

自治体向けのサービス「ホープ」が三菱商事との協業の検討を中止

東証グロースに上場で自治体の広報紙やホームページなどで広告枠を設けるなど、「全国の地方自治体の財源確保を支援」を掲げるホープ(福岡市)は、総合商社の三菱商事との協業の検討を中止したと発表した。ホープは2022年12月に三菱用事との協業の検討に入ることを公表していた。これまで住民向けアプリや企業版ふるさと納税の支援サービスで協業を検討してきたが、両社によるシナジーが難しく、それぞれが独自の成長戦略を推進することが望ましいとの結論に至ったと説明している。

【ホープ】三菱商事株式会社との事業上の協業に係る協議・検討中止のお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241021500401.pdf

キャッシュレスサービス会社が欠損を補填

東証グロース上場で、小売店向けの電子マネーを提供するなど、キャッシュレスサービス事業を展開するペイクラウドホールディングス(HD)は、資本準備金の減額に踏み切る。減額した分を「その他資本剰余金」を経由して「繰越利益剰余金」に振り替えることで欠損の補填を行う。2006年設立で20年グロース上場のペイクラウドは、業績が悪化して利益剰余金がマイナスの欠損状態だった。24年11月26日の株主総会で正式に決める。

【ペイクラウドホールディングス】資本準備金の額の減少及び剰余金の処分に関するお知らせ https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241015598189.pdf

「TBS」の外国人株主の割合は15%

東証プライム上場のTBSホールディングスは、外国人株主の割合が15.44%(議決権ベース)だったと発表した。外国資本によって言論や報道が左右されないようにするため、国は外資規制を導入して放送法で20%以内を求め、定期的な公表を義務付けている。

【TBSホールディングス】外国人等の議決権割合に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241018500053.pdf

(平日連載、2024年10月21日公表分に続く)

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