presented by D-QUEST GROUP

静かな信号を聴く経営

「内部通報制度」を企業価値の中核資産へ捉え直す


2026年中の施行が予定される改正公益通報者保護法。消費者庁の監督権限強化、通報者範囲の拡大、そして通報者への不利益取り扱いについて事業者側に立証責任を転換させるといった内容が盛り込まれることになった。片や昨今の企業不祥事を見ても、内部通報を起点としたと思われる報道が相次ぐ。このように、ハラスメント行為を含む不正を検知する仕組みとして、内部通報制度はますます注目を集めている。

それでは、運用の最終責任を担う経営者はこの制度にどのような認識を持っているだろうか。もっとも、「通報=不正情報」という考えだけを起点にしていては、制度本来の潜在力を引き出すことは難しい。確かに、不正検知は必須である。しかし、制度で掬い上げた社内の「静かな声」をいかに経営にフィードバックするかが問われる時代に来ているのではないか。

そうした問題意識を軸に本シリーズでは、ガバナンスと企業法務に精通する本誌連載でもお馴染みの遠藤元一弁護士が、制度担当者は元より、主宰者である経営層に向けて、内部通報システムを企業の中核資産に転換する試みを各フェーズで提案する。