【2025年1月22 日「適時開示ピックアップ」】牧野フライス、ニデック、ワイハウ、リョービ、東洋経済、マルヨシセンター
1月22日水曜日の東京株式市場は3日続伸となった。日経平均株価の終値は前日比618円高い3万9646円だった。前日の米国の株高が影響したほか、トランプ大統領と近い孫正義氏が率いるソフトバンクグループが米国でAI(人工知能)の開発に取り組むことが好感されてか、株価が上昇。全体を押し上げた。そんな22日の適時開示は127件。これらの中から、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ。周辺情報も交えて紹介する。
「牧野フライス」が「ニデック」に対しTOBの延期等を再要請
東証プライムの牧野フライス製作所(東京・目黒区)は、TOB(株式公開買い付け)提案をしてきたニデック(東証プライム)に対し、TOBの延期を求める再要望書を送ったことを発表した(本誌関連記事)。
その中でニデックの交渉姿勢について〈貴社と協議を進めて行くことができるのかと、非常に困惑を生じさせるもの〉と評し、手続きの開始を5月9日まで延期するように求めている。
争点となっているのは、TOBの是非を考える十分な時間と情報を与えたかどうか。ニデックは〈検討を行うための時間的余裕を与えないようにする意図は一切ない〉と、経済産業省のM&A指針に基づいて実施していることを強調して、両者の言い分は平行線をたどっている。
これにニデックは22日、牧野フライスの買収に関し、米国競争法に関する認可手続きが完了したと発表した。
【牧野フライス】特別委員会による再要望書送付のお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250122553921.pdf
【ニデック】当社の株式会社牧野フライス製作所(証券コード:6135)に対する公開買付けに係るHart-ScottRodino Antitrust Improvement Act of 1976(1976年ハート・スコット・ロディノ反トラスト改善法)の手続完了について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250122553560.pdf
ITサポート「ワイハウ」金融庁命令の取り消し求めて提訴
東証スタンダードに上場し、サーバーの構築やITサポート、飲食事業まで展開する「THE WHY HOW DO COMPANY」(ホワイ・ハウ・ドゥ・カンパニー=ワイハウ、東京・新宿区)は、金融庁(財務省関東財務局)が出した有価証券報告書の提出命令の取り消しを求め、東京地裁に提訴したと発表した(本誌関連記事)。
関東財務局は昨年7月、ソフトウエアの会計処理(資産計上)で虚偽記載があるとして訂正した有報の提出を命じていた。
これに対しワイハウ側は、5年前の報告書であることを指摘しながら、〈一般に公正と認められる会計基準に基づきこれ まで正しくソフトウエアの資産計上を行い、開示を行っていると判断している〉と反論している。
【 THE WHY HOW DO COMPANY 】取消訴訟の提起に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250122553915.pdf
「リョービ」個人株主から“価格の適正化”等の株主提案受ける
東証プライム上場で非鉄金属のリョービ(広島・府中市)は、個人株主1名から、3月開催の定時株主総会の議題として、「剰余金の処分」と「国内事業の価格の適正化を検討する委員会設置に関する株主提案」を受けたと発表した。同社は近く、取締役会の意見を公表する。
【リョービ 】株主提案に関する書面受領のお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250122553598.pdf
東京高裁、東洋経済記事で「ニデック」一審勝訴を認める判決
東証プライムのニデックは東洋経済新報社(東京・中央区)を相手取り、記事の削除などを求めた控訴審で勝利したと発表した。東京高裁が22日に東洋経済側の控訴を棄却する判決を言い渡し、損害賠償金の支払いと記事の削除を命じた。
記事は、2022 年 10 月にニュースサイト「東洋経済オンライン」に公開されたもので、ニデック創業者の永守重信氏が自社株買いに詳細な指示を出しており、これがインサイダー取引に当たる可能性を指摘していた。
ニデックはこの記事に対し「虚偽の事実で当社の名誉を毀損するもの」として名誉毀損に基づく損害賠償などを求め、東京地裁は24 年8月 6日、損害賠償金の支払いと記事の削除を命じた。東洋経済は判決を不服として東京高裁に控訴していた。
ニデックは今回の判決を受け、〈法令に従って適正に自己株式の取得を行っており、インサイダー取引の疑惑がないことが改めて示された〉としている。
【ニデック】東洋経済新報社に対する損害賠償等請求訴訟(控訴審)に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250122553562.pdf
四国の中堅スーパー「マルヨシセンター」基幹システムめぐり提訴
東証スタンダード上場で四国でスーパーマーケットを展開するマルヨシセンター(香川・高松市)は、IT企業のソフテック(高知・南国市、非上場)に2億2900万円の損害賠償を求める訴訟を起こすことを発表した。
マルヨシは2016 年にスーパーマーケット事業における新しい基幹システムを導入することを決定、ソフテックに開発を委託した。しかし、ソフテックはシステムを開発することができず、他社に開発を委託したため、損害を被ったとしている。
リリースによると、話し合いによる解決に努めてきたが、進展が見られなかったという。
【マルヨシセンター 】訴訟の提起に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250122553695.pdf
(平日連載、1月22日公表分に続く)
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