【オリエンタルランド秘史#11】筆頭株主「京成電鉄」ディズニーランド誘致直前の躓き
時価総額上昇も解消しない「資本の捻じれ」
(#10から続く)昨秋、アクティビスト(物言う株主)から思わぬ攻撃を受けたオリエンタルランド筆頭株主の京成電鉄。対応に追われたが、この圧力が結果的に同社を押し上げる要因になっている。
英投資ファンドのパリサー・キャピタルが京成電鉄にオリエンタルランド株の一部売却を求めたとのニュースが流れたのは昨年10月17日の夜だった。この日の京成電鉄株の終値は5104円で時価総額は8800億円。翌日から急騰し、大納会の12月29日は6664円で引け、時価総額は1兆1489億円に。73日間で3割以上も膨れ上がった。“口先介入”がアクティビストだけでなく、京成電鉄にも恩恵をもたらしたことになる。今年に入ってからも好調は続き、1月10日同社の株価は初めて7000円を超えた。
ただし、経営陣が枕を高くして眠れるかといえば、そうはなっていない。これだけ上がっても、京成電鉄の時価総額が保有するオリエンタルランド株(発行済株式の22.15%)の時価をはるかに下回っている状態は変わっていないのだ。1月10日の終値で計算すると、京成電鉄1.21兆円に対し、オリエンタルランド株の保有分は2.20兆円。その差は1.8倍で、数カ月前の2倍よりは縮まったとはいえ、本体よりも保有株式の価値のほうが大きいという「資本の捻じれ」は相変わらず。第二、第三のハゲタカファンドに狙われる状況はいまだ続いている。
京成電鉄は昨年10月31日の第2四半期決算会見でオリエンタルランド株を保有し続けることを表明した。そして今年に入って、小林敏也社長は日本経済新聞(ネット配信1月11日)の取材に対し、オリエンタルランド株の売却について「未来永劫、絶対に現水準をキープするんだと固執しているわけでもない」と答えている。「売却の必要性で判断」とも。この発言は何を意味しているのか。オリエンタルランドの創業メンバーである同社は大きな岐路を迎えている。
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