検索
主なテーマ一覧

久保利英明会長「日本ガバナンス研究学会」が“人権”をテーマに年次総会を開催《大会記前編》

組織のあり方や経営者の規律付けについて考える日本ガバナンス研究学会(会長=久保利英明弁護士)の年次大会が10月5日土曜日、大阪・茨木市の追手門学院大学安威キャンパスで開かれた。内部統制からサステナビリティ(持続可能性)、企業・団体献金などテーマは多岐にわたり、弁護士や大学教授、企業の総務や監査部門で働く人たちが熱い議論を交わした。その一方、人権分野での取り組みでは、欧米に比べて日本企業の遅れが指摘されるなど、ガバナンス上の多くの課題を浮き彫りにする有意義な大会となった。

【日本ガバナンス研究学会】第17回年次大会
https://jagra.jp/contents/taikai17.html

学会名称変更と久保利英明氏の会長就任

日本ガバナンス研究学会は、2022年7月に「日本内部統制研究学会」が名称変更して発足した。日本内部統制研究学会は07年12月、金融庁の企業会計審議会内部統制部会の会長を務めた八田進二・青山学院大学教授(当時、現同大名誉教授、大原大学院大学教授)らが発起人となって設立された経緯がある。

設立当時、その翌年08年4月に金融庁の「財務報告に係る内部統制制度」が導入されることが決まっており、日本企業において内部統制の確立が強く求められていた。初代の会長は川北博・元日本公認会計士協会会長(故人)が務め、同年7月に「内部統制の重要な欠陥に係る実態調査」を統一論題に第1回の年次大会を青山学院大学(東京)で開催。その後も、制度の検証や内部統制の課題、改善策などについて理論と実務の両面から研究し、社会に訴えてきた。

一方で、この数年、企業にとどまらず、学校や病院、福祉施設といった非営利法人においても不祥事が相次いでいる。このため、さまざまな法人や団体のガバナンスやリスク管理についても調査・研究し、社会に還元していくことを狙いに学会名を変更した。その4カ月後の22年11月には、第6代会長として、日比谷パーク法律事務所の久保利英明弁護士が選任された。

久保利英明・日本ガバナンス研究学会会長(2023年撮影=矢澤潤)

《参考記事》【久保利英明×八田進二#1】ガバナンスとド派手スーツの原点
https://cgq.jp/series/hatta-talk/1967/

周知の通り、ド派手なスーツで知られる久保利氏は、まさに日本企業のコーポレートガバナンスの歴史を体現する有名弁護士。1980年代には商法改正を受けて上場企業の株主総会指導を手掛け、01年には総会屋利益供与事件に揺れる野村ホールディングス(HD、野村証券)の社外取締役に就任。弁護士の社外取登用の嚆矢となった。その後も、各社で社外取を務める傍ら、企業が不祥事発生時に組成する第三者委員会にも積極的に引き受け、マルハニチロHDやゼンショーHD(すき家)などの第三者委をリード。一方で、第三者委が企業不祥事の“禊”の具に堕している風潮を憂い、第三者委員会報告書格付け委員会を立ち上げ、形骸化する報告書に鋭い喝を入れている。

昨年には日本大学のアメリカンフットボール部の不祥事をめぐって、第三者委員会答申検討会議の議長で記者会見に登場したことは記憶に新しい。そんなガバナンス界の顔とも言うべき久保利氏を会長に招き、現在、ガバナンス研究学会はアカデミアンばかりでなく、企業人や弁護士なども巻き込み、さらなる発展を期している最中にある。

「ブルーウォッシュ」の懸念も…人権でダメ出しされる日…
1 2

ランキング記事

【PR】【11月26日(火)14:00~開催】アンケート無料ウェビナー開催 内部通報実務者Q&Aウェビナー~アンケートから見る現場の声とその対策~【参加特典あり】
【PR】【11月26日(火)14:00~開催】アンケート無料ウェビナー開催 内部通報実務者Q&Aウェビナー~アンケートから見る現場の声とその対策~【参加特典あり】
【PR】【11月27日(水)14:00~】無料ウェビナー開催  【商標業界最前線】メタバースにおける画像・商標の保護 ~不正競争防止法改正と商標・画像保護の最新動向~
【PR】【11月27日(水)14:00~】無料ウェビナー開催  【商標業界最前線】メタバースにおける画像・商標の保護 ~不正競争防止法改正と商標・画像保護の最新動向~

ピックアップ

  1. 【2024年11月20日「適時開示ピックアップ」】ストレージ王、日本製麻、コロプラ、GFA、KADO…

    11月20日の東京株式市場は反落した。日経平均株価は売り買いが交錯し、前日から62円下落した3万8352円で引けた。そんな20日の適時開示は…

  2. 安藤百福「素人だから飛躍できる」の巻【こんなとこにもガバナンス!#36】…

    栗下直也:コラムニスト「こんなとこにもガバナンス!」とは(連載概要ページ) 「素人だから飛躍できる」安藤百福(あんどう・ももふく、実業家) …

  3. 【《週刊》世界のガバナンス・ニュース#2】米エヌビディア、豪レゾリュート・マイニング、加バリック・ゴ…

    組閣人事報道も相次ぎ、世界がトランプ米大統領の再来前夜に揺れ動く中、世界では、どんなコーポレートガバナンスやサステナビリティ、リスクマネジメ…

  4. 鳥の目・虫の目・魚の目から見る「公益通者保護法」の再改正【遠藤元一弁護士の「ガバナンス&ロー」#5】…

    遠藤元一:弁護士(東京霞ヶ関法律事務所) 内部通報者への「不利益処分に刑事罰」構想の実効性は? 公益通報者に対して公益通報者保護法が禁止する…

  5. 【米国「フロードスター」列伝#1】「カリブ海豪華フェス」不正実行者の所業と弁明…

    さる2024年9月、テレビ朝日系バラエティー番組『しくじり先生 俺みたいになるな‼』に、見慣れぬアメリカ人が登場した。その名は、ビリー・マク…

  6. 「日本ガバナンス研究学会」企業献金から大学・兵庫県知事問題までを徹底討論《年次大会記後編》…

    (前編からつづく)ガバナンス弁護士の泰斗として知られる久保利英明氏が会長を務める日本ガバナンス研究学会。その年次大会が10月5日、大阪・茨木…

あなたにおすすめ

【PR】内部通報サービスDQヘルプライン
【PR】日本公認不正検査士協会 ACFE
【PR】DQ反社チェックサービス