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青山学院大学・八田進二名誉教授「2025年ガバナンス7つの視点」【新春インタビュー#4後編】

八田進二:青山学院大学名誉教授

前編から続く)新春インタビュー大晦日の第4弾は、本誌「Governance Q」でもお馴染みの八田進二・青山学院大学名誉教授のガバナンス予測後編。日本公認不正検査士協会(ACFE JAPAN)評議員会会長でもある八田教授が考える、2025年に予測される、ガバナンスをめぐる“7つの視点”とは――。新春インタビュー後編。

《視点①》ガバナンスの対象範囲が拡大する!

前編では2024年のガバナンス重大事件を取り上げたが、後編の今回は2025年のガバナンス予測として7つのポイントを挙げたい。

1つ目は、健全なガバナンスが要求される組織および対象範囲が、これまで以上に広がることだ。

2024年の事例を見ても、ガバナンス不全が問題とされた組織は、上場企業だけにとどまらず、旧ジャニーズ事務所や宝塚歌劇団といった芸能・興業に関わる組織、自民党や自衛隊のような公共性の高い組織、日本大学や東京女子医科大学などの学校法人、さらに複数の職員による舟券の不正購入が問われた日本モーターボート競走会といった財団法人にまで及んでいる。

つまり、あらゆる企業、組織、機関、団体に対して、コンプライアンス意識をはじめ、経営および運営の健全性が求められるようになり、健全なガバナンスを効かせているのかという点に、高い関心が寄せられているのである。この傾向は、引き続き2025年も継続することになるだろう。

《視点②》ガバナンス向上は株価上昇に通じる!

2つ目は、企業価値とコーポレートガバナンスのあり方である。

ここ数年、株価は押しなべて上昇の一途をたどっている。日経平均株価は、2023年1月の約2万6000円から24年1月には約3万3000円、3月には4万円を超えて、7月11日には年初来高値の4万2224円を付け、そして12月時点では3万9000円にまで上昇している。こうした日本企業の株価上昇は、競争力の増大に資するガバナンス強化が投資家から評価されたものと言える。

イギリスでは1990年代、「ガバナンスなくして繁栄なし」といった議論が盛んに行われていたが、日本でもようやくというべきか、企業の繁栄のためには、その絶対条件として健全なガバナンスが必要であるということの理解が浸透し始めている。そして、この流れは25年も強まりこそすれ、弱まることはないだろう。

《視点③》“ガバナンス過剰”で企業が窒息する! …
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