【《週刊》世界のガバナンス・ニュース#1】中国Temu、米JPモルガン、米グローバルファウンドリーズ、中国SMIC、米Meta
トランプ氏が米大統領選で当確を出し、世界が大揺れに揺れた2024年11月第2週。世界では、どんなコーポレートガバナンスやサステナビリティ、リスクマネジメントをめぐる企業・組織の動きがあったのか――。連載初回の#1は欧州、米国、韓国発のニュース4件をお送りする。
欧州委員会が違法商品販売の疑いで中国系Temuの調査開始
中国系の電子商取引(EC)サイトTemu(テム)が、欧州連合(EU)のデジタルサービス法(DSA)に違反している疑いがあるとして、EUの執行機関である欧州委員会の正式調査を受けることになった。調査対象は、違法商品の販売、ゲームを使った依存性の高いサイト設計、コンテンツ・商品の推奨方法、データへのアクセス環境、の4項目。最終的に違法と認定されれば、最大で年間世界売上高の6%に相当する制裁金を科される可能性がある。
DSAは、巨大IT企業に、違法コンテンツを排除することを義務付けている。Temuは今年5月、欧州委から、DSAに基づく最も厳格な規制が適用される「超巨大オンラインプラットフォーム」(VLOP)に指定されていた。それ以降、違法商品の流通や消費者保護の不備などに対する懸念から、情報提供を求められていた。
EU域内でのTemuの利用者は今年9月時点で月間9200万人に上る。
【欧州委員会】Commission opens formal proceedings against Temu under the Digital Services Act
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/api/files/document/print/en/ip_24_5622/IP_24_5622_EN.pdf
米JPモルガン、情報開示不足で和解へ1.51億ドル支払い
米金融大手JPモルガン・チェースの子会社2社は、投資家に誤解を招く開示をした疑いがあるなどとして提起されていた米証券取引委員会(SEC)から提起されていた5件の訴訟で和解するため、総額約1億5100万ドル(約230億円)を支払う。
訴えられていたのは、JPモルガン・セキュリティーズ(JPMS)と、JPモルガン・インベストメント・マネジメント(JPMIM)の2社。
5件のうち最大の事案であるファンド商品「コンデュイット」をめぐっては、JPMSが1000万ドルの民事制裁金を納めるほか、顧客1500人超に計9000万ドルを払い戻すことに同意した。
JPMSはコンデュイットの販売で調達した資金を非公開株式やヘッジファンドに投資し、後に上場した企業の株式を投資家に分配している。しかし、株式の売却時期や売却数に関する決定権が同社に帰属することが開示されておらず、顧客は市場リスクに晒された。
【米証券取引委員会】JP Morgan Affiliates to Pay $151 Million to Resolve SEC Enforcement Actions
https://www.sec.gov/newsroom/press-releases/2024-178
米グローバルファウンドリーズ、中国SMICへの無許可の半導体輸出で制裁金50万ドル支払い
半導体受託製造世界3位の米グローバルファウンドリーズ(GF)は、中国の同業、中芯国際集成電路製造(SMIC)の関連企業に無許可で半導体を出荷したとして、米商務省から罰金50万ドル(約7660万円)を科された。
商務省産業安全保障局(BIS)の発表文によると、GFは2021年2月~22年10月に、SMICの関連企業である盛合晶微半導体(SJS)に向けて74回にわたってウエハーを出荷した。総額は約1710万ドル(現在のレート換算で約26億円)相当という。
SMICと、SJSを含むSMICの関連企業は20年、安全保障を理由に米企業との取引を事実上禁じるBISの「エンティティーリスト」に掲載されていた。
出荷は許可なく行われ、輸出管理改革法(ECRA)違反とされた。ただ、GFはこの件を自主的に申告し、是正措置を講じたため、罰金は大幅に減額された。
【米商務省産業安全保障局】BIS Imposes $500,000 Mitigated Penalty Against GlobalFoundries For 74 Shipments to Entity Listed Chinese Firm
https://www.bis.gov/press-release/bis-imposes-500000-mitigated-penalty-against-globalfoundries-74-shipments-entity
米メタ、個人情報の不正収集で韓国当局に1500万ドルの課徴金支払い
フェイスブック(FB)を運営する米メタは、法的な根拠を伴わずに利用者の個人情報を収集し、広告主に提供したとして、韓国・個人情報保護委員会(PIPC)から216億2320万ウォン(約24億円)の課徴金を科された。
PIPCの発表文によれば、メタは同意を得ずに、FB利用者約98万人分の宗教や政治、性などをめぐる考え方や立場に関する個人情報を取得。そうした情報は広告主に提供され、約4000社が利用していた。トランスジェンダーや脱北者に関する情報も含まれていたという。
【韓国・個人情報保護委員会】PIPC Sanctions against Meta for Collection and Use of Sensitive Data without Lawful Basis of Processing
https://www.pipc.go.kr/eng/user/ltn/new/noticeDetail.do?bbsId=BBSMSTR_000000000001&nttId=2698
(毎週火曜日連載、次回#2は2024年11月19日公開予定)
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