徳島県・後藤田正純知事「長期政権で“大企業病”に侵されていた県庁改革」【新春インタビュー#10前編】

さまざまなフィールドの“賢者”が2025年のガバナンスを予測する「Governance Q」新春連続インタビュー」。10回目は、2023年、国会議員から徳島県知事に転じた後藤田正純氏が「県政改革」の現場を語る。長期政権が続いた徳島県で、どのように職員たちの意識変革を進めているのか。一言居士として勇名を馳せたgovernor(ガバナー、知事)が考えるガバナンスとは――。前編(後編はこちら)。
「魅力度・安心度・透明度アップ」の3つのミッション
徳島県知事に就任したのが2023年5月18日だったので、約1年半以上経ちました。
30歳の2000年に自民党の衆議院議員として初当選し、四半世紀にわたり政治の世界にいますが、国会議員だった時は“不遇の時代”も過ごしました。特に第2次安倍(晋三)政権下では、私は石破派ということもあってか、政権に対して「正しいこと」を申し上げても“物言えば唇寒し秋の風”ではないですが、口は災いの元と言われるような状況を経験しました。(苦笑)
その時、「もう国会には限界があるな」と思ったわけです。特に長期政権になるとチェック機能は働かなくなり、スピード感を持って変革などできない。これは企業も同じですよね。
徳島県においても、私の前には20年間続いた県政がありました。遅滞した徳島の状況を変えたい。「スピード&チャージ」。機動力を持って変えるには今しかない。だから、徳島県知事選に立候補したのです。その時に申し上げた「一歩先の日本を、徳島から」というスローガンには、そういった意味を込めました。
最初は県庁の職員も、私の剛速球や1000本ノックに驚いたと思います。知事に就任した年の9月に県版・骨太方針となる「徳島新未来創生政策集」を策定し、これをもとに、これから10年間を徳島創生の正念場として「徳島新未来創生総合計画」という計画を立てました。「『未来に引き継げる徳島』の実現」をビジョンに、「魅力度アップ、安心度アップ、透明度アップ」という3つのミッションを設定しました。
もちろん、私が就任する以前も、徳島の今後を考えると謳う計画案やスローガンはありました。しかし、その数値目標は千を超えてあったようです。それを「徳島新未来創生総合計画」のもと、確実に実行できることにフォーカスして絞り込みました。それでも、まだ百弱くらいありますが……。(笑)
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