メキシコにおける暗号資産規制
メキシコにおいて、暗号資産とは、電子的に記録された価値の表象であり、一般の人々の間で、あらゆる合法的な行為の対価として支払手段として用いられるもの、そしてその移転が電子的手段によってのみ行われるものを指します。これらは、いかなる場合においても、メキシコ領内の法定通貨、外国通貨、または法定通貨建てもしくは外国通貨建てのその他の資産とはみなされません。これは、メキシコ中央銀行の通達第4/2019号およびフィンテック法により定義されています。
メキシコの暗号資産に関する規制は、以下の2種類の事業体に適用されます:
- 特定事業者(訳注:法律上、マネーロンダリングのリスクが高いとされる業種。例えば、不動産仲介、高額商品の売買、宝石・美術品取引、ギャンブル関連など)
- 金融機関(訳注:銀行、証券会社、フィンテック企業などを含む登録済の金融事業者)
金融機関が取り扱うことができる暗号資産は、メキシコ中央銀行により個別に承認された事業者に限られ、その利用も内部業務に限定されています。現時点において、暗号資産を一般向けに取り扱うことが認められているのは、商業活動を行う事業者(特定事業者)に限られます。
AML法の下では、暗号資産関連業務として、以下のような幅広い活動が定義されています。
- 電子的、またはこれに類するプラットフォームを通じて暗号資産の取引
- 顧客に代わって暗号資産の購入または売却を仲介・実行する業務
- 顧客の暗号資産の保管、保存、または移管手段の提供
このような業務を行う非金融事業者は、AML法、同法施行規則、ならびに一般規則に基づいて以下の義務を履行しなければなりません:
- AMLポータルを通じたメキシコ歳入庁への登録
- AML義務の履行を担うコンプライアンス責任者の選任
- KYCの実施および顧客ファイルの作成
- 資金の出所の監視および実質的支配者の特定
- AML/CFTに関する社内規定・ポリシーの策定
- 法定基準額(暗号資産の場合、645 UMA*:2024年基準で約3,800米ドル)を超える取引の報告、および疑わしい取引の24時間以内の届出
- 記録および情報の少なくとも5年間の保存
- 国内外の制裁リストとの照合
- 守秘義務の遵守およびメキシコ当局による監督・検査への協力