検索
主なテーマ一覧

【《週刊》世界のガバナンス・ニュース#10】イケア、住友商事、西テレフォニカ、スウェーデン海運ソルバン

イケア、リサイクル推進企業に総額1600億円投資へ

スウェーデンの家具大手「イケア」を運営するインカ・グループは、リサイクルを通じて成長している企業を対象に総額10億ユーロ(約1620億円)を投資する。

インカによると、地球が再生成させることができる天然資源の量を75%上回る資源を世界経済は消費している。

また、廃棄物のリサイクル率は20%を下回っている。インカとしては 廃棄物リサイクルの促進や二酸化炭素(CO2)の排出削減に積極的な企業への投資を通じて、循環経済への移行を後押しする考え。投資は投資子会社のインカ・インベストメンツが実施する。

インカ・グループ傘下の企業に関しては、現時点で計約270万トンをリサイクルに回しており、それを通じてCO2換算で940万トン超の温室効果ガスの排出を削減している。

【インカ・グループ】Ingka Group aims to invest EUR 1 billion to increase recycling infrastructure
https://www.ingka.com/newsroom/ingka-group-aims-to-invest-eur-1-billion-to-increase-recycling-infrastructure/

住商、インドネシア・ムアララボ地熱発電事業の拡張に向け融資契約

住友商事は、同社が参画しているインドネシア西スマトラ州ムアララボ地熱発電事業の事業会社が、国際協力銀行(JBIC)をはじめとする銀行団との間で、事業拡張に向け融資契約を結んだと発表した。2019年12月に商業運転を開始した1号機の隣接地に2号機を増設し、発電容量を現在のおよそ2倍となる約170メガワットにまで引き上げる計画で、総事業費約700億円を見込む。

事業会社「スプリーム・エナジー・ムアララボ」にはINPEXと、インドネシアの民間発電事業デベロッパーであるスプリーム・エナジーも共同出資している。

事業会社はインドネシア国営電力PLNとの間で2052年までの長期売電契約を結んでおり、2号機は25年3月の着工、27年の商業運転開始を目指す。将来、さらに最大66メガワットを増設する再拡張も視野に入れている。

融資はJBICのほか、アジア開発銀行(ADB)、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、百五銀行の協調融資によるプロジェクトファイナンスとなる。

拡張計画は、日本と東南アジア各国による脱炭素化の枠組み「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想に基づく日本、インドネシア両政府の支援も受ける。

【住友商事】インドネシア ムアララボ地熱発電事業の拡張に向けた融資契約を締結
https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/release/2025/group/18900

スペイン通信大手テレフォニカ、会長兼CEOが交代

スペインの通信大手テレフォニカはこのほど臨時取締役会を開き、ホセ・マリア・アルバレス・パジェテ会長兼最高経営責任者(CEO)の後任にマルク・ムルトラ氏を充てるトップ人事を決定した。大口株主からの圧力を受けたもので、ムルトラ氏はペドロ・サンチェス首相の中道左派政権に近いとされている。

スペインでの報道によると、最近テレフォニカの株式10%を取得した国家産業出資公社(SEPI)が、技術コンサルタント会社インドラのトップを務めているムルトラ氏のテレフォニカへの移籍を推奨した。

一方、有力労組のスペイン労働組合総同盟(UGT)はテレフォニカのトップ交代について、「SEPIが動機と目的を明確にすることを望む」としており、懸念を表明している。

スペインの通信市場では競争が激化しており、テレフォニカは苦境に立たされている。昨年にはスペイン国内の従業員1万6500人のうち3400人を整理すると発表した。

【テレフォニカ】Marc Murtra, Executive Chairman of Telefónica
https://www.telefonica.com/en/communication-room/press-room/marc-murtra-appointed-executive-chairman-telefonica/

ノルウェー海運ソルバン、船舶に炭素回収システム搭載

ノルウェーの海運会社ソルバンは、自社のエチレン運搬船に世界初の船上炭素回収・貯留(CCS)システムを設置するための改造を行った。

CCSシステムが搭載されたのは同社の船舶「クリッパー・エリス」で、二酸化炭素(CO2)排出量を最大70%削減できるとしている。

改造はシンガポールの造船所で行われ、CO2を回収する排気フィルターシステムが設置された。回収したCO2は船内のタンクに貯蔵された後、地中に貯留されるか、他の産業用途に使用される。

今回、クリッパー・エリスには試験的に設置されたが、ソルバンとしては、現在建造中の他の7隻の船舶にも同様のシステムを搭載することを検討している。

【ソルバン】Solvang first with full-scale onboard CCS
https://solvangship.no/2025/01/16/solvang-first-with-full-scale-ccs-on-board/

(毎週火曜日連載、次回#11は1月28日公開予定)

ランキング記事

ピックアップ

  1. ドン・キホーテ社外取締役、立命館大学・西谷順平教授「不確実な時代に求められる社外役員の“別視点”」【…

    西谷順平:立命館大学経営学部教授・パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス社外取締役 賢者が2025年のガバナンスのあり方を占…

  2. 徳島県・後藤田正純知事「ガバナンス改革の先にある“うずしお”の県政へ」【新春インタビュー#10後編】…

    後藤田正純:徳島県知事 (前編から続く)後藤田正純・徳島県知事の新春インタビュー後編。2023年5月の就任以来、県政のガバナンス改革を進める…

  3. フジテレビ港社長会見と社外取締役に求められる「型破りなアクション」【遠藤元一弁護士の「ガバナンス&ロ…

    遠藤元一:弁護士(東京霞ヶ関法律事務所) 1月17日フジテレビ社長会見直前に届いた記者からのショートメッセージ 1月17日金曜日の15時少し…

  4. 社長は“ハラスメントでクビ!”の筆頭候補である【野村彩弁護士の「ハラスメント」対策講座#1】…

    野村 彩:弁護士(和田倉門法律事務所)、公認不正検査士(CFE) 職場の「心理的安全性」確保に企業が腐心する中、その安全性を脅かす天敵が「ハ…

  5. “大川原化工機事件”代理人・髙田剛弁護士「警察でも“内部不正告発”を止められない時代」【新春インタビ…

    髙田 剛:和田倉門法律事務所代表パートナー弁護士 2025年正月4日放送の「NHKスペシャル」でも改めて注目を集めた大川原化工機事件。警視庁…

  6. 丸木強・ストラテジックキャピタル代表「2025年もアクティビストの“職業倫理”を全うする」【新春イン…

    丸木 強:ストラテジックキャピタル代表 各界の“賢者”が自らのガバナンス論を語る本誌Governance Qの2025年新春連続インタビュー…

あなたにおすすめ

【PR】内部通報サービスDQヘルプライン
【PR】日本公認不正検査士協会 ACFE
【PR】DQ反社チェックサービス