【米国「フロードスター」列伝#1】「カリブ海豪華フェス」不正実行者の所業と弁明
さる2024年9月、テレビ朝日系バラエティー番組『しくじり先生 俺みたいになるな‼』に、見慣れぬアメリカ人が登場した。その名は、ビリー・マクファーランド。本誌「Governance Q」と公認不正検査士協会(Association of Certified Fraud Examiners=ACFE、本部=米国テキサス州)の特別連携企画「アメリカ『フロードスター』列伝」の第1回の主人公こそ、この人物である。いったい、当時26歳のアメリカ人青年はどんな“フロード”(不正)を実行したのか――。
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【発生年】2016~17年
【被害額】2600万ドル(当時のレートで約28億6000万円)
【罪種】郵便詐欺、通信詐欺
2017年、カリブ海の島国バハマの美しいビーチで開催されるとして、当初大々的に宣伝された豪華な音楽フェスティバル。結果的に大失敗に終わったこのイベントで、主催者の不正が明るみとなった。この事件は冒頭の『しくじり先生』も含め、「史上最悪の音楽フェス」として各種メディアで報道され、ドキュメンタリー映画も制作された。
フェスティバルの主催者、マクファーランドのイベントの失敗、不正行為、彼の反省と現況を伝え、現代のマーケティング手法とミレニアル世代(20代前半~30代後半の世代)の心理を反映しつつ、ガバナンスの欠如と不正行為のリスクを浮き彫りにする。そして、試みレベルではあるが、1950年代のアメリカの犯罪学者ドナルド・R・クレッシーの提唱した「不正のトライアングル」にも照らし合わせてみた。
なお、本特集は、ACFEアメリカ本部の全面協力によるものである。ACFEは、1988年にアメリカで設立された、不正対策を使命とする世界的組織である。日本をはじめ、全世界200近い支部で構成され、9万人以上の不正対策分野のエキスパートである会員を擁している。ACFEは、不正防止・早期発見に取り組めるよう、さまざまな教育・支援プログラムを提供。その一環で、「フロードスター」と呼ばれる、有罪判決を受けた不正実行者に報酬を支払わない方針でインタビューや講演を行い、カンファレンスやセミナー・ウェビナーなどを介して、不正対策教育プログラムに組み込んでいる。
本記事では、ACFE本部が「フロードスターとの会話」(Conversation with a Fraudster)と銘打ったインタビューをもとに、マクファーランドのストーリーをお送りする。本記事にある「インタビュー」とは、上記インタビューを指す。
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