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【2025年2月21日「適時開示ピックアップ」】ピクセルカンパニ―ズ、アドバンスクリエイト、ユニバーサルエンターテインメント、フコク

2月21日金曜日の東京株式市場は3日ぶりに反発した。日経平均株価の終値は、前日より98円高い3万8776円だった。日本銀行の植田和男総裁がこの日午前、衆院で機動的な国債買い入れについて触れたところ、一気に買いが優勢となった。その後、利益確定売りも出て、前日の終値を割り込む場面もあった。そんな21日の適時開示は363件。これらの中から、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ。周辺情報も交えて紹介する。

システム開発「ピクセルカンパニーズ」に課徴金納付命令の勧告

東証スタンダードでシステム開発を手掛けるピクセルカンパニーズ(東京・港区)は、同社で不正会計が発覚し、証券取引等監視委員会が6億2984万円の課徴金納付命令を出すように金融庁から勧告されたことを明らかにした。

監視委によると、ピクセルは太陽光発電所の工事代金として協力会社に前渡金を支出したが、発電所工事の実態はなかった。協力会社はその日のうちに同社の関係者に前渡金を渡したという。その後、その資金の使途は分かっておらず、損失計上をしていないことは金融商品取引法違反と認定した。

また、ピクセルの子会社が用地取得代として協力会社に送金したが、その資金は協力会社からピクセルの役員の借入先に送金されていたという。これは有価証券報告書に「関連当事者との取引」として記載すべき内容だったと指摘している。

この問題でピクセルカンパニーズは昨年11月、有価証券報告書を訂正していた。同時に特別調査委員会の報告書も提出。17件16億円の取引実態がなかったとして認定している。

【ピクセルカンパニーズ 】証券取引等監視委員会による課徴金納付命令の勧告についてのお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250221580929.pdf

保険代理業「アドバンスクリエイト」再発防止策策定

手数料を誤って計算していた東証プライム上場で保険代理店業のアドバンスクリエイト(大阪市)は、適切な人員配置やマニュアルの策定などの再発防止策を発表した。

リリースによると、手数料を算出するには割引現在価値など複雑な計算が必要だが、これまでは従業員1人もしくは少数で担っていた。担当者が異動する場合、引き継ぎが十分に行われておらず、マニュアルもなかったという。

このため再発防止策として、①手作業を可能な限り少なくし、システムによる効率的かつ確実な仕組みを構築する、②専門スキルと業務量に応じた適正な人員配置を行う、③難易度の高い会計処理を行う場合、監査法人とのコミュニケーションを行う、などを盛り込んだ。

【アドバンスクリエイト】再発防止策の策定と取り組みに関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250218578416.pdf

パチスロ「ユニバーサルエンターテインメント」海外送金めぐる訴訟で元社長と会社の上告を棄却

東証スタンダード上場でパチスロ大手のユニバーサルエンターテインメント(東京・江東区)は、元社長による海外への多額の送金が違法かどうかが問われた株主代表訴訟で、最高裁は元社長の申し立てを受理せず上告を棄却、判決が確定したことを明らかにした。

この訴訟は、1人の株主が起こした。元社長の冨士本淳氏が必要がないのに約4349万ドル(約65億円)を社外に送金したことは善管注意義務違反に当たるとして、会社に同額の賠償金を支払うよう求めていた。東京地裁は株主の訴えを棄却したが、東京高裁は株主の主張を認め、4349万ドルの損害賠償支払いを命じた。

最高裁は今回、高裁の判決を支持した。ユニバーサルはすでに冨士本氏の自宅や預金などについて差し押さえの保全措置をとっていると説明している。

また、ユニバーサルはこの株主を相手取り、同社の名誉を棄損したとして損害賠償訴訟を提訴。今回の株主代表訴訟と併合審理され、一審、二審と訴えは棄却されていた。ユニバーサルは最高裁に上告したが、2月19日付で受理しない決定の通知を受けたという。

【ユニバーサルエンターテインメント】(開示事項の経過) 当社元代表取締役に対する株主代表訴訟の判決に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250221580172.pdf
(開示事項の追加) 当社元代表取締役に対する株主代表訴訟の判決確定に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250221580795.pdf

自動車用ゴム製造「フコク」上海子会社で13年間にわたって着服

東証プライムでワイパーなど自動車用ゴム製品を造るフコク(埼玉・上尾市)は、中国・上海の子会社「上海フコク有限公司」の従業員による資金着服疑惑について、調査報告書を公表した。

報告書によると、上海フコク財務部所属していた元会計チーム長が2011年1月から24年10月の13年余り、自らが保管していた小切手を不正に使って銀行口座から預金を引き出して、着服していた。

着服は合計で百数十回に及び、金額は4億3000万円ほどに上る。元会計チーム長もこの事実をおおむね認めているという。また報告書は、23年まで、マネジメントする立場の総経理(社長職)と副総経理に財務管理に精通した者はいなかったことを指摘している。

さらに、上海フコクのコーポレートガバナンス体制として株主会、董事会、監事という制度があったが、董事会を構成する董事と監事について「フコクからの派遣者が指定されているが、これらの者に上海フコクのマネジメント人員としての稼働実態はほとんどなかった」と記されていた。

小切手についても使用する者と保管する者とが分離されておらず、元会計チーム長が保管管し、使用していた。

報告書は、内部統制が長年にわたり機能不全に陥っていたことを強調。不正の機会を与え、また、長年その発覚を免れる状況を許したと判断している。

【フコク】特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120250221580377.pdf

(平日連載、2月25日公表分に続く

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