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【2024年12月20日「適時開示ピックアップ」】nms HD、ファインシンター、ウイルコHD、アビスト、プロトコーポレーション

12月20日金曜日の東京株式市場は6日続落した。日経平均株価は前日から111円値下がりし、3万8701円で引けた。午後に円高傾向になって値を下げた。そんな20日の適時開示は346件。金曜日はいつも多めで、他の平日の倍ほどになる。この中からコーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。

「nmsホールディングス」経費不正利用でオーナー社長が辞任

本誌既報の東証スタンダード上場で製造業向けの派遣や請負業務を手掛けるnmsホールディングス(HD、東京・新宿区)は、小野文明社長が12月19日付で辞任し、河野寿子常務が新社長に就く人事を発表した。

小野氏をめぐっては経費の不正利用が発覚。nmsHDの取締役会は20日、「公私混同の常態化、コンプライアンス意識の低さと、上場会社である公器としての自覚の欠如など、その責任は重い」として取締役の辞任勧告を決議した。

河野氏は2016 年10月に入社の59歳で、広報・IR部長などを務めている。

ただ、小野氏は23.41%の株式を保有する筆頭株主(24年3月末時点)で、今後、どのような動きに出るのか、コーポレートガバナンスの点からも要注目だ。

【nmsHD】社長交代および代表取締役の異動に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241220542170.pdf

トヨタ系「ファインシンター」在庫積み増し不正等で改善報告書提出

東証スタンダード上場の自動車部品メーカー、ファインシンター(愛知・春日井市)は、東京証券取引所に改善報告書を提出した。インドネシアの子会社などで発覚した在庫の積み増しによる不正会計を防止するため、原因の究明と再発防止策を提示している。

報告書では、インドネシアの子会社の社長(2023年12月まで)が利益を確保するため、在庫を積み増していたという。当時、社内では「在庫を増やして利益を増す」という考えが広がっていたとされている。

これに対して報告書は「このような考え方は、一時的な見かけ上の効果にとどまるもので本来的な利益獲得ではない」と断定。黒字化に対するプレッシャーが原因のひとつに挙げた。

8項目の再発防止策を列記。「内部通報制度の充実」では、社内に通報窓口はあるが、対象者は本社の従業員で、他の国内外の従業員の声を直接吸い上げる仕組みはなかった。このため、全子会社に24年9月までに通報窓口を設置したという。また、本社も含めて外部窓口も25年1月に選定して運用していくことを表明した。

ファインシンターは改善報告書提出以前に、会計ルールの周知徹底や内部監査の強化といった再発防止策も策定していた。また、トヨタ自動車出身の山口登士也社長が3カ月間、報酬の全額を返上する対応も公表。なお、筆頭株主はトヨタで20.81%を保有する(24年9月末現在)

しかし、東証は「虚偽と認められる開示が行われた」「適時開示体制について改善の必要性が高い」と判断、再発防止に向けた取組みの徹底を促す観点からも改善報告書の提出を求めることにしたという。

【ファインシンター】東京証券取引所及び名古屋証券取引所への「改善報告書」の提出に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241220541628.pdf

石川・印刷会社「ウイルコHD」雇用助成金の不正受給で社長交代

本誌既報の東証スタンダード上場の印刷会社、ウイルコホールディングス(HD、石川・白山市)は、若林圭太郎社⻑が退任し、顧問の松浦昌宏氏が新たに社長に就く人事を決めた。2025年1⽉30⽇付。

ウイルコHDは雇用調整助成金8億6000万円を不正受給したことを受け、自主返還し、有価証券報告書も訂正することを余儀なくされていた。

今回の社長交代について、同社では「再発防⽌策を慎重に勘案した結果、経営体制の刷新が必要であると判断し、新代表取締役の元で、再発防⽌策の確実な実⾏及び業績の⽴て直しを図るため」と説明している。

【ウイルコHD】代表取締役の異動及び役員⼈事に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241208535495.pdf

工業設計「アビスト」雇用助成金不正受給で調査報告書

東証スタンダード上場で工業設計のアビスト(東京・三鷹市)は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う雇用助成金の不正受給に関する特別調査委員会の報告書を公表した(本誌既報)。

報告書によると、東京、浜松、名古屋、広島の4事業所で不正受給の可能性があると認めた。動機や背景については「担当者は概ね共通して、雇調金の金額について知らされておらず、提出期限に追われて対応していた」と当時の状況を認定。

意図的または計画的に水増しや架空申請で受給額を増やそうとする動機が認めらない、と結論付けた。正確な理解を欠いたまま、教育訓練時間などを記録したという。

ただ、一部の社員は要件の適合性について疑問を持っていたり、この不正受給が労働局のホームページへの書き込みに端を発していたりしたことから、内部通報制度の不備やコンプライアンス意識の低さが指摘され、改善を求めた。

取締役ら経営陣も雇用助成金について関心が薄かったという。アビストは、受給した計2億5000万円すべてを返還する予定という。

なお、特別調査委は委員長を社外取締役で監査等委員の江幡奈歩弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所)、委員は同じく社外取で監査等委員の山本守・公認会計士と、岸聖太郎弁護士 (石嵜・山中総合法律事務所)が務めた。

【アビスト】特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241220541569.pdf

グーネット運営「プロトコーポレーション」架空取引の再発防止策

東証プライム上場で、中古車の情報サイト「グーネット」を運営するプロトコーポレーション(名古屋市)は、不正取引の再発防止策を公表した。

本誌既報の通り、同社では、元事業部長(11月に懲戒解雇)が総額19億円におよぶ架空取引を繰り返していた(特別調査委員会の調べ)。

再発防止策は、「大口取引先の担当者の複数化」「内部監査の体制強化」など9項目。「組織風土の改善」も盛り込み、全従業員に向けたトップメッセージの発信や、全従業員向けの研修を実施するが、実効性や継続性がカギになることは言うまでもない。

【プロトコーポレーション】特別調査委員会の調査結果を受けた再発防止策の策定に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241220541765.pdf

(平日連載、2024年12月23日公表分に続く)

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