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【2024年10月30日「適時開示ピックアップ」】京セラ、伊藤忠、アビスト、住友ファーマ、IHI、幸楽苑、ウルトラファブリックス、アドバンスクリエイト

10月30日水曜日の東京株式市場は3日続伸した。日経平均株価は前日から373円値上がって3万9277円でこの日の取引を終えた。29日に米国のナスダックの株価指数が最高値を更新したことを好感した格好。そんな30日の適時開示は399件で、この中からコーポレートガバナンスやリスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップ、周辺情報も交えてお送りする。

「京セラ」が他の“政策保有株”と同様にKDDI株を売却方針

東証プライム上場の京セラは、KDDIの株式保有について方針を変えることを発表した。京セラはKDDIの前身の第二電電の設立に関わり、現在も14.55%の株式を持っており、これまで保有し続ける考えを示してきた。今回、この割合を縮減することを打ち出した。その理由として、京セラの今後の資金需要を挙げ、「売却などを見据え、他の政策保有株式同様、縮減を進める方針へ見直す」とした。具体的には、今後5年間で3分の1を売却する方針だという。

【京セラ】コーポレートガバナンス・コード 「原則 1-4 政策保有株式」への対応変更に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241030505881.pdf

創業者返り咲きで再建中「幸楽苑」の営業本部長が突如辞任

東証プライム上場のラーメンチェーン、幸楽苑が取締役の辞任を発表した。専務取締役営業本部長の熊谷直登氏が2024年10月31日付で退任する。理由は「一身上の都合」としている。

幸楽苑は、新型コロナウイルスの感染拡大や小麦などの原材料価格の値上がりなどで3期連続営業赤字となり、23年6月に新井田昇氏が社長を退任し、父親で元社長の創業者、新井田傳氏が会長兼社長に就いて経営の立て直しを図っている。今回、営業本部長に芳賀正彦・管理本部長兼経営戦略部長が就く人事も発表した。退任前日の「一身上の都合」は判然としないが、人事刷新ということか。

【幸楽苑】取締役の辞任に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241018599829.pdf

「伊藤忠」がデサントTOB終了で完全子会社化の行方

東証プライムの伊藤忠商事は、同じくプライム上場のデサントの株式公開買い付け(TOB)が終了したと発表した。買い付け前、伊藤忠はデサントの株式の44.44%を持っていたが、今回のTOBで持ち分は85.92%にまで拡大した。伊藤忠は手続きを進め、デサントは上場廃止になる。2019年に伊藤忠が成立させたデサントの第1次の公開買い付けは「敵対的TOB」として注目されたが、それから5年半、業績が伸び悩むデサントに伊藤忠がどこまでテコ入れできるか注目を集める。

【伊藤忠商事】株式会社デサント株式(証券コード:8114)に対する公開買付けの結果に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241030506204.pdf

工業設計「アビスト」雇用調整助成金“不適切申請”で決算発表延期

東証スタンダード上場で、工業設計のアビスト(東京・三鷹市)は新型コロナウイルス感染拡大に伴う国の雇用調整助成金の申請で不適正なケースがあったとして、11月13日に予定していた2024年9月期の決算発表を延期する。これに伴って、独立社外取締役で監査等委員の江幡奈歩弁護士を委員長とした特別調査委員会を設置した。

今年1月、静岡労働局から「支給申請の一部が適切でなかった疑いがある」との指摘が寄せられ、調べたところ、認識不足に起因する過誤にあったという。このため、支給決定を取り消された。静岡労働局からの受領額は2316万円(20年9月~22年6月)で、これまでに1562万円を自主的に返還した。決算発表の時期は未定。

【アビスト】雇用調整助成金の受給に関する自主返還及び特別調査委員会組成並びに決算発表延期の お知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241030505635.pdf

「住友ファーマ」の早期退職募集に600人が応募

東証プライム上場で製薬、住友ファーマは早期退職者募集の結果を公表した。40歳以上を対象に9月から10月にかけて募ったところ、604人が応募した(当初の募集人数は約700人)。これで当初想定した2000人体制になるとしている。

住友ファーマが30日発表した2024年4〜9月期の連結決算(国際会計基準)では、当期純損益は322億円の赤字だった。稼ぎ柱だった薬の特許切れなどが影響としたと見られている。大日本製薬と住友製薬の合併から約20年、早期退職で活路は開けるか。

【住友ファーマ】(開示事項の経過)事業構造改革に伴う早期退職者募集の結果に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241029505483.pdf

船舶エンジン不正「IHI」検査・品質不正で再発防止策を発表

東証プライムのIHIは、今年4月に公表した船舶用のエンジンに関する「検査・品質不正」問題で、再発防止策を発表した。対策は、①自動計測機器の導入、②品質管理部門の独立性確保、③人事ローテーションの活性化など計12項目となっている。

今年8月にIHIが公表した報告書によると、相当数の検査員らが不適切な検査を問題視して改善を上司らに求めたものの、「こんなことを文書で送ってくるな」「仕様値が決まっているのだからどうしようもない。実測の状態では売れなくなる」などと言われて、対応しなかったことが記されている。

【IHI】(開示事項の経過)当社連結子会社における不適切行為について (株式会社IHI原動機における不適切行為の再発防止策)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241029505601.pdf

内装材「ウルトラファブリックスHD」がグリーンローン融資

東証スタンダード上場で家具や自動車の内装材メーカー、ウルトラファブリックス・ ホールディングス(HD、東京・八王子)は、環境省のガイドラインに基づいた「グリーンローン」と呼ばれる融資契約をみずほ銀行などと結んだと発表した。融資金額は55億円で群馬・千代田町の新工場建設の資金に充てる。

ウルトラファブリックスは、長期間使えるように耐久性を強めたり、電気自動車などの燃費向上につながるように軽量化したりと、サステナビリティを考えた製品開発に取り組んでいるという。グリーンローンは一般的に、環境保護に積極的な企業というレピュテーションにつながるほか、金利面など好条件で融資を受けることができるという。

【ウルトラファブリックスHD】千代田新工場にかかるグリーンローン契約締結に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241030506443.pdf

「アドバンスクリエイト」監査法人の指摘で決算発表を延期

東証プライム上場で保険代理店業のアドバンスクリエイト(大阪市)は、11 月13日に予定していた2024年9月期の決算発表を延期すると発表した。また、過年度決算も訂正するという。日程などを今後公表するが、過年度の決算には、「相応の時間を要する」としている。アドバンスクリエイトは、監査人である桜橋監査法人の指摘で、将来受け取る代理店手数料の計算ミスがあったことを公表。現在、是正作業をしている。

【アドバンスクリエイト】2024 年 9 月期決算発表の延期及び過年度決算訂正に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241030506371.pdf

(平日連載、2024年10月31日公表分に続く)

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