【2024年10月9日「適時開示ピックアップ」】太洋物産、セブン&アイ、富士精工、タカキュー他
10月9日水曜日の東京株式市場は反発した。日経平均は3万9277円で取引を終えた。この日の適時開示は152件。この中からコーポレートガバナンスやリスクマネジメントなどで注目されるリリースをピックアップし、周辺情報も交えてお送りする。
前社長がトップの会社から提訴された「太陽物産」
東証スタンダード上場で貿易商社の太洋物産は、太洋不動産に訴訟を起こされたと発表した。太洋不動産は、前代表取締役で社長だった柏原滋氏が代表取締役を務め、約1900万円の損害賠償を求めている。
太洋物産のリリースによると、柏原氏が社長在任中、外部に内部情報が提供され、その情報を受け取った人物が太洋物産の株の売買をしていたという。このほかにも柏原氏に関連して不明朗な取引があり、2023年5月、損害賠償を求めて柏原氏を東京地裁に提訴し、現在、係争中。柏原氏は2022年3月に代表取締役などを辞任していた。
【太陽物産】訴訟の提起に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241009595824.pdf
ブルームバーグ報道を認めた「セブン&アイHD」
東証プライムで小売り大手のセブン&アイ・ホールディングス(HD)は、同社に買収提案をしているカナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールがこれまでより2割ほど高い約7兆円という金額を提示してきたというマスコミの報道を認めた。10月9日、米ブルームバーグが関係者取材で報じたのを各紙が後追いした格好。なお、セブン&アイ側は「法的拘束力のない非公開の再提案を受領した。当社から発表したものではない」としている。双方の駆け引きが激しくなっている証左だが、この日は、セブン&アイが社名を変更するという報道もあった。
名証上場の特殊工具「富士精工」が中国でリストラ
特殊工具メーカーで名古屋証券取引所に上場する富士精工は、中国の業績不振から、大連の工場で合理化に踏み切ったと発表した。9月下旬に希望退職を募ったところ、68人が応じたという。2億3000万円の特別損失を計上する。理由として、中国でEV(電気自動車)が一気に普及。結果、日本メーカーのつくるエンジン車が大きな打撃を受け、「受注が急激に減少している」。伸び悩んでいる状況も垣間見えるEV市場だが、今後の動向が注目される。
【富士精工】連結子会社における人員削減等の合理化及び特別損失計上に関するお知らせ
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6142/tdnet/2508490/00.pdf
アパレル大手「タカキュー」が債務超過解消を維持すべく構造改革中
東証スタンダード上場で紳士服を中心としたアパレル大手のタカキューは、債務超過に向けた取り組み状況について公表した。タカキューは、スーツ需要の低迷やコロナ禍で業績が悪化し、2022年2月期から債務超過に陥り、再生計画のもと、不採算店の閉鎖など構造改革を進めている。25年2月期の第1四半期末時点において債務超過こそ解消しているものの、東証が改善期間と設定した25年2月期末時点でも、債務超過の解消が維持できるよう営業効率を向上させていくとした。同日発表した中間決算では、売上高は46億9000万円で、営業利益は1億円超と黒字転換した。
【タカキュー】債務超過解消に向けた取り組みの進捗状況について
https://ssl4.eir-parts.net/doc/8166/tdnet/2508546/00.pdf
かっぱ寿司の「カッパ・クリエイト」が不正競争防止法違反で社員有罪、会社も罰金刑
東証プライム上場で寿司チェーンのカッパ・クリエイトは、東京高裁が10月9日、不正競争防止法違反の罪で起訴されていた同社の社員に対して執行猶予付きの懲役刑と罰金の判決を言い渡したと発表した。カッパ・クリエイトも3000万円の罰金刑となった。
この社員は、カッパ・クリエイトの前社長(有罪)が、ライバルの「はま寿司」側から営業秘密を入手し、商品企画部長だったこの社員と共有したとされる。カッパ・クリエイトは「判決を真摯に受け止め、他社情報の不正取得などを含むコンプライアンスに関する取組みを引き続き徹底し、再発防止に努めて参ります」とのコメントを出した。
(平日連載、2024年10月10日公表分に続く)
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