【2024年9月30日「適時開示ピックアップ」】ファインシンター、ヤマハ発動機、楽天グループ他
9月30日の東証株式市場は「石破ショック」に見舞われた。自民党の新総裁になった石破茂氏の経済政策に対する不安が広がり、同日の日経平均株価は前日から1910円下がって3万7919円になった。この日の適時開示数は354件。その中から、コーポレートガバナンスやリスクマネジメントに関するものをピックアップ、周辺情報とともにお送りする。
ファインシンター「不正会計」の特別調査委が結果を開示
■東証スタンダード市場に上場するトヨタ系の自動車部品のファインシンターは、特別調査委員会の調査結果を公表した。同社では、インドネシアの子会社で2021年3月期~2024年3月期の間、不適切な会計処理の疑いが浮上し、今年5月に社外監査役と社外取締役、弁護士らでつくる特別調査委員会を設けて調べていた。その結果、利益を確保するため、在庫の処分を先送りして、資産として計上していたという。当時のインドネシア子会社の社長(昨年12月まで)が指示していたとしている。
これに伴って会計ルールの周知徹底や内部監査の強化といった再発防止策も策定した。また、関係者の処分も公表。山口登士也社長が3カ月間、報酬の全額を返上する。不適切な会計処理を指示していたインドネシアの前社長には、退職慰労金は支給されないというが、この程度の処分で適正なのか。
【ファインシンター】特別調査委員会による調査報告書開示に関するお知らせ
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS04680/59053dc1/cf46/4f11/9f37/3f7a1fe40b17/140120240930591217.pdf
バリオセキュア「経費の私的流用218万円」で社長が辞任
■ネットワークのセキュリティサービスを提供する東証スタンダード市場上場のバリオセキュアは30日付で社長交代を発表した。梶浦靖史社長が辞任し、取締役の山森郷司氏を新社長に選任した。同社によると、梶浦氏は私的な飲食代やゴルフのプレー代を社外の人の接待などと偽っていたという。社外取締役監査等委員による調査委員会が調べ、梶浦氏が辞任を申し出た。損害額は約80件で218 万円。全額、梶浦氏が返金したという。
【バリオセキュア】代表取締役の異動(辞任及び選定)に関するお知らせ
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4494/tdnet/2505662/00.pdf
娘に切られ軽傷のヤマハ発動機社長、家族のケアのため辞任
■東証プライムでオートバイや船外機などで知られるヤマハ発動機は、日高祥博社長が30日付で辞任し、渡部克明会長が10月1日から社長を兼務する人事を発表した。辞任の理由は「一身上の都合」としている。日高氏は9月16日、静岡県磐田市の自宅で娘に切り付けられ軽傷を負っていた。
【ヤマハ発動機】代表取締役の異動について
https://global.yamaha-motor.com/jp/news/2024/0930/corporate.html
LINEヤフー「情報流出」の再発防止策を総務省に提出
■昨年10月にLINEとヤフーなどが合併して誕生したLINEヤフーは、昨年発覚した情報流出に対する再発防止策の状況等をまとめた報告書を総務省に提出した。ネットワークでつながり、大株主でもある韓国系のネイバー社などとのシステム分離を実施するなどとしている。LINEヤフーは昨年、利用者情報など50万件超を流出させた。
【LINEヤフー】総務省への報告書の提出について(2024 年 9 月 30 日付報告書)
https://www.lycorp.co.jp/ja/ir/news/auto_20240927590295/pdfFile.pdf
楽天カードとみずほFG、資本業務提携の検討開始
■インターネットサービスで東証プライムの楽天グループは、子会社でクレジットカードを発行する楽天カードと、メガバンクのみずほフィナンシャルグループ(FG)と戦略的な資本業務提携の検討を始めると発表した。楽天は個人向けビジネスに強みを発揮しているが、みずほとの提携で、法人サービスも強化する狙いだ。すでに楽天証券ホールディングスと、みずほ証券は資本業務提携している。
【楽天グループ】楽天カード及びみずほフィナンシャルグループによる戦略的な資本業務提携の検討についてのお知らせ
https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2024/0930_12.htmlyear=2024&month=9&category=corp%20ir%20fintech
ティーガイア「米ベインキャピタル」によるTOBに賛同
■東証プライム上場で携帯電話の代理店、ティーガイアは米投資ファンド、ベインキャピタルの株式の公開買い付け(TOB)に賛同する意見を表明した。一般株主を対象にしたベイン側のTOB価格は1株あたり2670円で、「推奨できる水準の価格に達しているとまでは認められない」として、応募の推奨に関しては株主の判断に委ねるという。一般株主の応募が一定数あれば、大株主の住友商事(所有割合は41.80%)、光通信グループ(28.86%)。からも買い取って上場廃止になる見通しだ。
【ティーガイア】株式会社BCJ-82-1による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ
https://pdf.irpocket.com/C3738/EAzE/BZok/xWTh.pdf
(平日連載、2024年10月1日公表分に続く)
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